基礎からのGVP【第10回】

情報の集積I

はじめに
安全性情報の評価の章で、個々の情報を精査し評価するとともに、集積された情報についても個々の副作用についての集積状況並びにその発生傾向についても評価する必要があると述べたところである。そのためには、その集積情報は適切な方法で処理された一定レベルの信頼性を確保されたものでなければならない。GVP省令においては、特段規定されたものではないが、情報の信頼性確保の面から、その情報整備方法について、製造販売業業許可更新時の順守状況調査や、再審査申請後の信頼性調査において、必ず確認される。そのため情報の処理基準や構築するデータベースシステムについて文書化(手順書でなく、逐次的な改定が可能な細則やマニュアル等)しておく必要がある。

1.データベース選択上の留意点
(1)概要
安全性情報を的確に評価するためには、類似副作用(有害事象等)がこれまでに報告されているか、それがどのように発生しているかを確認することは必須である。また、副作用収集状況や症例報告等の業務進捗管理においても整理された情報集積が不可欠である。ただし、その方法は集積される予測量に応じたデータベース化を検討する必要がある。
(2)システム
総合システムとしては、
・副作用情報の集積
・副作用報告等の進捗管理
・副作用報告電子化システム
・副作用電送システム
の機能を一部装備したもの、完全に装備したものがあり、大量な副作用情報を取扱う企業においては有効な手段として活用されている。しかしながら、システムが大規模になりがちで、そのメンテナンスとバリデーションのための業務も必要となっており、取扱いの手順書等も整備し、組織的に均一な処理がおこなえることが必須である。なんといっても導入、運用、メンテナンスと初期導入費用数千万、年間運用費1、2千万の費用が必要である。
(3)簡易リスト
エクセル等の簡易リストにより、それぞれの業務を個別に管理するのに使用されているが、システムとしての信頼性が脆弱であること、総合システムでないことからそれぞれのリスト間での整合性をはかる必要があり、情報の齟齬が生じないよう確認しながら処理することが必須であり、大量情報の処理には難がある。ただし、仕様変更等が容易にでき、且つ費用が殆どかからない利点がある。

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