【第3回】今、求められるQA部門の体制の構築について
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2 昨今の事例 におけるQA部門の存在
昨今、医薬品製造業者における行政処分事案が後を絶えない。
以前から行政処分は行われているが、令和2年の医薬品への睡眠導入剤成分の混入事案を皮切りにここ数年で20超の行政処分が行われている。
なお、最近不正を行ったものではなく製造所において過去から不正が実施されていたものの公になったのが最近である事案がほとんどのように見受けられる。
そのため、基本的には前述した改正GMP省令との関係はなく発生している事案である。
何故、不正をしてしまったのか、しなければならない状況に追い込まれたのかは、事案ごとに様々ではあるものの、その中でGMP組織におけるQA部門が本来の機能を適切に発揮していたかというと、多くの事案では本来の機能が発揮されていなかったことも一因で不正が起きてしまったと考えられ、また、特に責任役員がその責任を果たしておらず、組織全体として適切な医薬品の製造管理や品質管理が出来ていなかった、その状態に陥ってしまったため不正が起きてしまっている。
安定供給や利益を踏まえた無理・無茶な生産計画、その中で変更やOOS、逸脱処理が適切に出来ない状況などが生まれてしまい、納期ありきの出荷をするために、不適切な出荷判定等を行うなど、QA部門はその役割を十分に発揮することができない状況下に多くの事案では追い込まれていたことが見て取れる。
供給や利益を優先する場合、当然そのための製品が必要となる。
製品を製造し続け、さらにその量を増やす場合、特に製造する担い手が当然必要となってくるが、QA部門の人員は、製品を直接製造する者ではない。
そのため、事案によっては、製造部門に対しての人員確保は一定程度行われているものの、QA部門などの非生産部門に対しての人員確保はおろそかになっていたケースもある。
製造を優先し、経験者などは製造現場へ、QA部門にはそこまでの経験を有さない者が配属されるなどの状況も生まれていたケースも存在する。
適切な品質を追求するのであれば、当然、QA部門の役割は大きく、適切な人員の確保は必要であるが、供給や利益を重視すればするほど軽視になっていると言わざるを得ない事例が散見される。
また、供給が優先されるあまりQA部門に必要な情報が入ってこないような状況が生まれていたものも存在する。
例えば、医薬品の供給、そのための製造を急ぐために製造所では製造や試験をし続けることを優先した結果、逸脱が起きても現場では処理をする時間等がとれず、逸脱を処理できていないケースがある。
このようなケースの場合、QA部門へ逸脱が上がってこないためQA部門として逸脱の処理ができるものではない。
また、変更なども変更管理の処理に時間がかかるため逸脱と同様、現場からQA部門へ報告されず同様にQA部門としての変更の管理が出来ないなかで、現場では変更が実施されていたケースなども存在する。
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