基礎からのGVP【第8回】
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情報の評価I
はじめに
収集された安全管理情報を、的確に且つ迅速に評価することが肝要である。そしてその評価結果は科学的な根拠、論理的な検討に裏付けられたものでなければならない。さらには、得られた結果からリスクを最小化するための方策について適切に検討しなければならない。そのため、GVPでは「安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案に関する手順」として、評価業務の的確性と迅速性を、そして適切性を確保するための手順を規定することを求めている。
1.評価に必要な情報・知識
副作用情報の評価においては、「重篤性」評価、「予測性」評価、「因果関係」評価の三種類の評価がその基本であり、医薬品の安全性を確保しながら適正な使用を推進していくこととなるが、場合によっては、その他、社会的な影響等による重大性評価も考慮する必要もあるので留意しなければならない。
(1)情報評価の概要
医薬品の安全性を評価するときに必要なことは多方面から発生した事象を確認することである。医薬品ということで評価の立脚点は、どうしても「くすり」としての体内における作用からということが基本にはなるが、ただ一方的にその点からみて評価することでは、重大な誤りをまねくこととなってしまうことに留意しなければならない。「くすり」を中心として、いま「からだ」で何が起こっているかを推測するのが安全性評価である。
そのためには、薬理作用のみでなく、疾患、副作用の発現機序、その他背景要因等についても、広く理解したうえで評価することが重要である。
(2)疾患の理解
原疾患、合併症による病状の変化に伴い出現してくる症状と、医薬品等による影響とを明確に分けて評価することは困難であるが、以下のように症状の出現は様々な影響によることから、一つずつ根拠をもって消し込んでいく消去方法で評価していく必要がある。
・原疾患・合併症の症状変化
・病状の変化と医薬品の副作用が合わさった変化
・医薬品により病状が顕在化した変化
・医薬品による副作用の出現
(3)副作用発現の機序
副作用の因果関係を評価するうえで、最も重要なものは副作用の発現機序を理解することである。医薬品が体内に取り込まれ、作用が現れる機序は以下のようなものが主に考えられるが、症状の消長と医薬品の薬物動態とを考慮して関連性を推測することが求められる。
・薬物による細胞(血液)等への直接的影響
・アレルギー反応による変化
・薬物による生理活性の増強・減弱
・生体内防御機構の破状
・相互作用等による薬理作用の増強・減弱
(4)その他
医薬品の副作用の重大性は、リスク/ベネフィットのうえに成立つことを理解しておかなければならない。慢性疾患に対する治療薬による副作用と抗悪性腫瘍剤等の副作用を同等に評価すべきでなく、医療上の要求にあわせた評価が必要であり、措置については特にその点を考慮し決定するべきである。睡眠不足の社会人に睡眠導入剤を使用させ、翌日の日中に眠気が残ってしまい、業務に支障をきたすことは、一般社会人には重大なことであるが、疾病により入院している患者さんにとっては、多少の眠気は許容される場合が多いい。このため措置を決定するには常に、少なくとも以下の要因について配慮する必要がある。
・社会的要因
・医療環境
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