一歩先を目指す化粧品GMPの運用(第6回)
第6章:トップの資質(役割)とは(旗振りとはどういう役回りか)
前回(第5回)では、PQSとISO9001のシステムを統合運用することを紹介しました。化粧品GMPの取り組みを拡大して、全社(全部門)が「品質保証」という目標に向かうことを求めています。
一方PQSでは、上級経営陣並びに経営陣には医薬品の品質確保のための積極的な関与が求められており、最近の製薬企業の品質に関わる不祥事で特に上級経営陣の責任が厳しく問われていることは周知のとおりです。
このように、全社品質保証活動(TQMと呼ぶ)にはトップの役割が重要です。品質方針の確立からGMP活動を経て、その評価、マネジメントレビューに至る一連の作業をPDCAサイクルとして理解することが重要であり、このサイクルを回すことによって継続的改善が達成されます。
文献4)の序文には「上級経営陣は品質方針を確立しなければならない。品質方針は従業員をはじめ社内外に周知徹底する必要がある。品質方針を達成するために、品質目標を規定し、経営陣が資源と訓練を提供し、品質目標に対して達成度を数値化した業績評価指標(PI)を確立して運用することが求められる。複数のPIはQuality Metricsとして統合され、製造所のPQSの実効性の評価の指標となる。その評価は最終的に上級経営陣によって評価される。これがマネジメントレビューであり、その目的は、過去を振り返り、品質課題を抽出し、後の改善につなげてゆくことにある。PQSでは、品質方針の確立からGMP活動を経て、その評価、マネジメントレビューに至る一連の作業をPDCAサイクルとして理解することが重要であり、このサイクルを回すことによって継続的改善が達成される。こうした製造所におけるPQSのあり方の概要を示す文書が品質マニュアルである。」といっています。
また、昨今の医薬品業界の不正や不祥事の多発を受け、「法令順守体制」の構築が求められ、「責任役員(取締役)」の設置と役割が示されました。化粧品GMPの取り組みは、「製造部門」と「品質部門」が連携して行うものですが、一歩先を目指すには「責任役員(取締役)」の積極的関与が必要です。
今回はトップの役割と姿勢についてお話しします。皆さんは役職上のトップではないかもしれませんが、何かの機会に話題提供していただければ幸いです。
1.トップの資質と従業員の役割
トップの資質とは何でしょうか。最近の事例を見て分かるように、トップの人格は「法令順守」だけでは充分ではありません。サントリーの新浪会長の辞任(2025年9月1日付で代表取締役会長を辞任)を見ても、トップの人格は「法令に違反しなければよい」というだけではなく「経営者倫理」を全うすることが求められます。つまり、グレーではだめで、清廉潔白でなければいけないのです。
以下、トップの資質と従業員の役割について見ていきましょう。
まず、トップ自ら「品質第一」を宣言して推進する必要があると思います。「PQSの基本は品質方針だから、手っ取り早く決めてしまおう。」「方針の次は品質目標を設定しよう。」と、How to的に手順を進めても、「仏作って魂入れず」になってしまいます。結果は火を見るよりも明らかです。自らの気持ちがその方針に生きていけなければ意味がないのです。
従業員はどうでしょうか。ここで大事になるのは「技術者倫理」といえるでしょう。中村先生は「事故から学ぶ技術者倫理」1)の中でこういっています。
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