【2026年10月】医薬品品質保証こぼれ話 ~旅のエピソードに寄せて~

執筆者の連載をまとめた書籍を発刊「医薬品品質保証のこぼれ話」
 

第32話:「不協和音」を奏でない組織づくり
 ― サイレントリスクの早期検出とマネジメントの責務 ―


・要約
音楽バンドにおける「人の和」とマネジメントの体験から、製薬工場の組織管理へ視点を広げる。設備や品質システムが整っていても、人間関係の不和やコミュニケーション欠如という「サイレントリスク」を放置すれば、「組織破壊の4段階」を経て重大なGMP違反に繋がる。経営陣や管理職はこれを本質的なリスクと認識し、当事者意識をもって早期検出と解消に努めることが、品質保証と企業発展の基盤となる。

・本文
昨年(2025年)春より地域のバンドにハーモニカ・キーボードで参加し、地域近隣のイベントや老人ホームで演奏活動をしています。メンバーはギター、ボーカルと合わせて3人。選曲や歌い方などで意見が合わないこともありますが、幸いメンバーは好人物で、折り合いをつけて和気あいあいとした雰囲気で、快適に活動が続けられています。3名という小さな“組織”ですが、訪問先や日程の調整、選曲や演奏コードの決定、楽譜の調達や歌集の作成など、やることはたくさんあります。要するに、力を合わせて、この小さな組織をマネッジする必要があるわけで、それは組織の大小とは関係なく必要となります。

組織として物事を継続・安定的に遂行し成果を得る、また、結果を残すためには何が必要か。要件はケースバイケースで様々ありますが、どんな場合にも重要となるのが「人の和」ではないでしょうか。設備など環境が整備され、教育が充実し知識や技術が高度に身についても、それを組織として生かすのは仲間の協力や協調、要はメンバーが仲良く気持ちよく活動できるという環境ということになります。言わば「人間関係」の状況、あり様が重要となります。

このことは、医薬品製造の現場、つまり製薬工場のそれぞれの組織においても例外ではありません。いくら設備機器や品質システムを整えても、それを活用・運用する人間の間に不穏な空気が漂い、コミュニケーションに乏しい状況では、最新の機器も高度な技術も十分機能させることができません。人が増え組織が大きくなるほど、この種の問題もより複雑になり課題も増えます。

経営陣としては、この種の残念な状況が組織の中に存在した場合、企業発展の観点から可及的速やかにそれを解消する必要があります。どうすればよいか。答えは簡単ではありませんが、組織としての根本の問題であり、先ずはマネッジメントサイドが軸となり対策を講じることが急務となります。これを放置しておくと、業務の円滑な推進が抑制されるだけでなく、後々重大な問題が生じる可能性があります。品質システム等の整備とは次元が異なる課題です。

 

 

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