中国「医薬品試験データ保護実施方法」が日本企業に与える影響

中国における医薬品の知的財産権保護と革新発展を強化するため、国家医薬品監督管理総局(NMPA)は、2026年5月15日、『医薬品試験データ保護実施方法』(以下、『実施方法』)を正式に発表し、即日施行しました。本制度は、新薬開発企業が巨額の投資をして取得した臨床試験等のデータを一定期間保護し、後発医薬品メーカーによる無断の「データ流用」を防ぐことを目指しています。

以下に、本制度の背景、詳細な概要、海外から中国に輸出する製品への影響、日本の再審査制度との比較、そして今後の市場への影響を解説します。

1. 背景

中国は、2002年にWTOに加入し、国際的な約束に基づき、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の関連規定を2002年改訂版の「医薬品管理法実施条例」に取り込みましたが、具体的な適用範囲や手続き、保護期間の明確なルールなどの実施細則はずっと策定されていませんでした。2019年から、「医薬品管理法」およびその実施条例の改定を通じて、医薬品の革新を促進する法整備を進めてきました。今年1月、中国国務院は「医薬品管理法実施条例」を再度改訂し、その中で医薬品試験データ保護の法的枠組みを正式に導入しました。その後、5月15日に『実施方法』を正式に公布し、具体的な運用のルールを定めました。
今回の『実施方法』は、国際的な制度であるデータ・エクスクルーシビティ(Data Exclusivity)を鑑みつつ、「革新の奨励」と「医薬品のアクセシビリティの確保」のバランスを精緻に取るために策定されました。

2. データ保護制度の概要

データ保護の対象となるのは、中国で初めて販売承認申請に使用される、未開示かつ完全な薬学、非臨床、臨床試験のデータです。ただし、単なる生物学的利用能(BA)、生物学的同等性(BE)データ、およびワクチンの免疫原性データ(有効性の代替指標)は、新たな安全性・有効性の証拠を創出していないため、データ保護の対象外となります。また、中薬については独自の「中薬品種保護条例」が適用されるため、本制度の対象外です。
データ保護申請は、医薬品登録申請と同時に提出する必要はあります。申請区分や状況に応じて、以下のように最長6年の保護期間が設定されています。
先発医薬品などのデータ保護期間中、後発品など他の申請者の申請は、データのソースによって扱いが分かれます。

  • データの保有者の同意なく、その保護されたデータを使って改良型新薬、後発品、バイオシミラーの承認申請や追加申請を行っても、NMPAは承認しません。
  • 他人のデータに頼らず、自社で独自に取得した試験データで申請した場合は、要件を満たしていれば承認されます。その申請に対してデータ保護期間は付与されませんが、その後の別の申請者がそのデータを流用することもできません。

なお、各新薬を含め、各種類の医薬品のデータ保護期間は下記のとおりです。

 

 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます