「マラソン」第21回
48 新星現る 〜京一の刺客〜
そんな修行僧のような日々を過ごしていたある日、SNSを通じて一通のメッセージが届いた。
「今週末、京一しますか?」
送り主は、以前の「ホントの京一(80キロ)」で一緒だった若い女の子。
彼女は当時、トレイルランニング界で彗星のごとく頭角を現していた期待の星だ。
最近大会で顔を合わせた際、「今度一緒に走ろう」と社交辞令半分で交わした約束を、彼女はしっかり覚えていてくれたのだ。
その週末、私と彼女、そして男友達のクロトさんの3人で山へ入ることになった。
49 「鉄の女」と「空元気の男」
いざ走り出してみると、その光景は実に興味深いものだった。
- 私(京一): 2人を気にせず、淡々と一定のペースを刻む。
- 新星の彼女: 70キロという長丁場。普通の女子なら悲鳴を上げる距離だが、彼女は全く息を切らさない。涼しい顔で私の背後にピタリと付いてくる。
- クロトさん: いつものことだが、序盤だけは元気いっぱい。若い女の子の前でカッコつけたいのか、それとも単なるオーバーペースか。案の定、距離を追うごとにその表情から余裕が消えていった。
案の定、後半戦に差し掛かる頃にはクロトさんはヘロヘロのゾンビ状態。
対する彼女は、スタート時と変わらぬ透明感を保っている。
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