ラボにおけるERESとCSV【第139回】

FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(109)


7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。

■ OOOOO社  2025/5/9
施設:製剤工場
Monica E. Murie

■ Observation 2-C
ラボにおける生データレビューをオリジナルの電子記録に対し実施していない。とくに、GCのクロマトグラムとFTIRのスペクトルのレビューをプリントアウトのみで行っている。電子生データは分析機器制御管理システムに保存されているが、データ確認において分析者およびQAは電子生データをアクセスしていないしレビューもしていない。

★解説
データレビューに関わる基本用語を以下に紹介する。

■生データ
1)PIC/S GMP 第4章 文書化における規定
・少なくとも、品質判定に用いる全てのデータを生データと規定すること
・生データとなる電子記録を規定すること

 
2)厚労省 GMP事例集(2022年版)における規定
・最終結果を得るために使用した元となるデータ
・最終結果を得るに至った過程を含む記録
・最終結果を検証することができるもの
・例:波形電子ファイル、、、、計算や換算等の過程の記録

 

■オリジナルレコード
紙であろうが、電子であろうが最初に捉えた情報(PIC/S査察官向けDIガイダンス 第7.5節における規定)。
すなわち、オリジナルレコードは生データの出発点となるので、データレビューはオリジナルレコードを原点として開始する必要がある。

■ダイナミックレコード形式(動的記録形式)
ダイナミックレコード形式とは、データ処理、データ解析、データを拡大表示できるような記録の形式。例えば、電子的に維持されているクロマトグラフィーのオリジナルレコードの形式(WHOのDIガイダンス 第3章における規定)。
HPLC, GC, FTIR, UVなどの分析装置が生成するオリジナルレコードは、ダイナミックレコード形式の電子記録である。すなわち、HPLC, GC, FTIR, UVなどの分析装置におけるデータレビューは、生データの原点であるダイナミックレコード形式のオリジナルレコード電子記録に対し行う必要がある。生データであるこれらの電子記録を維持しなければならないのは言うまでもない。

本Observationにおける指摘のポイント
① QCにおけるデータレビューを生データであるオリジナルレコードの電子記録に対し実施していない
② QAもオリジナルレコードの電子記録にアクセスしてレビューしていない
 
QAレビューに関する補足説明
① QAレビューはロットごとのレビューではなく、QCレビューが適切に行われているかを抜き取りで監査することでよい(PIC/S査察官向けDIガイダンス§9.8、MHRAのDIガイダンス、WHOのDIガイダンス)。
② QAレビューのポイント
A)  QCにおけるデータレビューが手順どおり実施されていることを確認
B)  データインテグリティを保証できるデータレビューか確認
C)  システム管理者権限のもとになされた操作の正当性を確認
D)  良いとこ取りをしていないことを確認
E)  不都合な事象を隠蔽していないことを確認

 

 

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