リアルワールドデータ(RWD)がもたらすもの【第2回】

【第2回】リアルワールドデータ利活用の基準ー規制対応

1.    リアルワールドデータ(RWD)による臨床研究
リアルワールドデータ(以降RWD)を適切な方法で分析することによって、ある程度、医療の実態を明らかにすることができる。例えば二つの異なる治療法を比較して効果の差を知りたいときに、臨床試験を計画して、あらたに治療を受ける患者さん達に二つの治療法のいずれかを受けてもらって効果を見ていくという方法もあるが、二つの治療法がすでに日常診療で行われているものであれば、これまでに蓄積されている情報、すなわちRWDを調べれば、二つの治療法の差異は明らかになる可能性が高い。RWDという言葉が一般的ではなかった頃から、ひとつの研究手法として、医療機関に所属する医師が自身の所属する医療機関で得られた医療情報を過去にさかのぼって調べて、ある治療方法を受けた患者さんの背景や転帰などを分析するという方法があった。それが現在では、所属する医療機関のみではなく、複数の医療機関から医療情報を収集しているデータベース保有者からデータセットを入手することにより、さらに多くの情報に基づく研究をすることが可能となっている。
研究者は、個人情報を適切に取り扱い、倫理的な配慮をすれば、研究成果を論文として学術雑誌に掲載する上では問題はない。研究者は研究の立案時に、所属機関の倫理審査委員会による審査を受ける1, 2)。委員会では、当該研究計画の適用される法律やガイドラインの遵守状況や、患者さんへの倫理的配慮がなされていることなどを審査して、それらに問題がなければその研究計画を了承する。

2.    リアルワールドデータ(RWD)利活用に関する規制
一方、その臨床的検討の結果を薬機法に基づく製造販売承認を得るための根拠資料とすべく、医薬品や医療機器の有効性や安全性を評価することが目的である場合は、申請資料として審査機関(日本の場合は医薬品医療機器総合機構、以降PMDA)に受け入れられるように、適切な規制対応が必要である。RWDを使った臨床的検討に関するルールとして、日本の厚生労働省は「承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方」3)、「レジストリデータを承認申請当に利用する場合の信頼性担保のための留意点」4)を2021年に通知として発出した。厚生労働省はRWDの情報源には診療記録、レセプト、疾患レジストリ、製品レジストリ等があるとしており、このうちレジストリデータを承認申請等に活用する場合の考え方や留意点を明らかにしている。また、医薬品や医療機器の製造販売承認後に、承認を取得した企業は、実際の医療における使用経験を継続的に調査していかなければならない。その調査は、医療情報データベース(RWD)を使って行うことが可能となっているが、その場合のデータベースの信頼性担保についても留意点を示している5)。また、関連の質疑応答集も複数発出されている6)

3. RWD利活用の際にすべきこと
承認申請等にレジストリデータを活用する場合に考慮すべきこととして、厚生労働省は次の点を示している3, 4): 
(1) 個人情報の保護に関する配慮及び患者の同意: レジストリ保有者が、個人情報の保護に関する法律等に従って患者さんの同意に関する要件や手順を規定していることを、データ利活用者(レジストリから抽出したデータセットを臨床的検討のために使おうとする者)は、確認しておかなければならない。
(2) 活用するレジストリデータの信頼性: レジストリの活用目的により、信頼性担保のための必要事項はさまざまであるため、データ利活用者は事前にPMDAに相談することが推奨されている。

 

 

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