失敗の本質はどこにある?【第3回・最終回】
組織文化の重要性とつくり方をお話ししてきた本連載の最終回は、もっとも重要な「意識変容」のあり方をご説明します。
3.組織文化を変える方法
改めて組織文化の特徴と、それをふまえた変革のあり方の全体を整理します。【図―5】
■当たり前の前提から変える
1つめの特徴は、「意識できないくらい当たり前になっている思考・行動様式」であることです。
組織内で共通する考えや行動は、意識されずに日常反復され、習慣的に各人の意識や行動に影響し続けます。
それが望ましければ、高業績やイノベーションを、そうでなければ、目的逸脱、主体性劣化、風通し悪化などの構造的課題を生み、事故や不祥事につながることを第1回 にお話ししました。
■一人ひとりが自ら変わる
2つめは、「一人ひとりの意識と行動の集まり」であることです。
「馬を水場に連れていくことはできても、水を呑ませることはできない」と言われるように、本人が自ら努力しない限り、残念ながら変化しません。
水準や方向性に差のある一人ひとりを高めるには、指示や強制ではなく、子育てや教育と同様に、自信や誇りなどの内発的動機に働きかけ、自律性を高め、自ら成長努力を続けるよう促すことが効果的です。
その際、意識と行動が目指す方向を、パーパス・経営理念などの組織目標に揃えるため、一人ひとりの納得、すなわち「肚おち」が必要です。
■従来の間違いに気づく「意識変容」
そのための変革が、「意識変容」です。
意識変容とは、ものの見方、考え方、価値観、意識や態度などを変えることです。しかし、過去の経験や学習で出来上がった大人の意識を180度、改めるには、相当な労力を要します。
こうした変化への抵抗を克服し、まったく新しい考え方を定着させるには、現状の考え方や行動に問題があり、「このままではいけない」との自覚や危機意識をもつことが大前提になります。
そこで、「このままで良いのだろうか」と、前提から問い直します。これは他者と「対話」することで、課題の本質や目的、達成手段についてハッとした「気づき」を得、「肚落ち」しやすくなります。
その次のステップが、「行動変容」(前回 説明)です。
■カギとなる「対話」の進め方
では、どう対話を進めればよいでしょうか。実は簡単です。
何を、何に、どうやって変えるか、です。
つまり、問題のある「現状」とありたい「理想像」を描き、両者のギャップとその原因を掘り下げ、ギャップを埋めるためにどう行動するか、順に整理していきます。【図―6】
これは一般的な課題解決手法であり、毎期の目標設定時に上司・メンバー間の話し合いでも用いられる、一般的なコーチング手法です。
■答を引き出す良質な「問い」
でも、自分や組織の「現状課題」や「ありたい姿」を問われても、これをふだんあまり考えないメンバーがすぐ答えられるとは限りません。
ここで大事なことは、いかに早く正解を与えるかではなく、自分の頭で考え、答を導き、自分の言葉で口に出す一連のプロセスです。それが「自律性」を引き出し、行動意欲を高めます。
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