医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第60回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「日本製薬企業に求められる国際的M&A対応力」


1.製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内製薬工場が会社統合では無く、敵対的買収(M&A)を仕掛けられる時代になりました。これは国際的特に欧米の企業やBayerが日本の製薬企業に対して企業の価値を評価した結果、将来的に業績が期待できるか否かを具体的な項目について評価した結果、業績が期待できることや買収する事で得る利益(ハード面、ソフト面)を評価してM&A敵対的買収を仕掛ける事がわかってきました。これは簡単な判断で決めていることでは無く、専門的な買収の専門家が各種Due Diligence(財務のみならず、環境汚染の評価と対策処理費用まで算定など以下のリスト参照)行い、莫大な資金を費やして調査を行い敵対的買収(M&A)を仕掛ける事が常道であることがわかってきました。

<M&A に係る各種 Due Diligence>

  • 新製品開発能力
  • CSRと人権侵害
  • コンプライエンス対応力(GMP、HSE関連法、その他法令改訂対応力プログラム運用実績)
  • 環境(土壌汚染、地下水汚染、廃棄物管理、騒音、近隣苦情実績その他)
  • 生産Capacity(設備、人財能力スキル(ライセンス及び専門性)
  • クライシスマネジメント運用レベル
  • 国際化多様化対応のHSE Global Standardの運用
  • サプライチェーンを含めた従業員を健康被害から守る運用
  • 財務(財務諸表)
  • その他

さて、M&Aを欧米企業から受ける企業の立場は一般的に負債を抱えて行き詰まっている事が多いようですが、そうとは限らない場合が近年多くなってきました。この買収を仕掛けられた企業ですが、上記の事柄を考えると一定の良い期待値を持っての評価を受けている事を見逃してはいけないと筆者は考えています。期待されない企業には声もかからない事を考えねばなりません。基本的に欧米の企業はGlobal Standard無しに医薬品の生産は出来ないと考えています。つまり、人権問題を無視しているという可能性を重要視して生産業務を考えます。一方、国内製薬企業の中には欧米やアジア諸国へ進出してGlobal Standardを持って着実に教育を行い、企業価値を高める努力をして業績を上げてきた企業が少なからずあります。失敗を繰り返して初めてGlobal Standard無しでは進出不可と解り、ゼロから学んでGlobal Standardを構築し、苦労して現状の業績をあげてきているとの事です。いずれも誰からも問題視される弱みを持っていないと企業の上層部も社員も考えておられるでしょう。会社統合は別としてM&Aは上記のいずれの場合でも仕掛けられる可能性があるのが昨今の日本と世界の製薬業界の環境であることを熟知せねばなりません。

そのためにはGlobal Standardを専門家に指導を受けて充実させることが必要です。何をどうすればよいのかが分かっていただくには少し時間がかかりますがチャレンジがもとめられています。 この後れを取っている日本企業の位置はある意味取り返しのつかない位置ですが問題は国際化多様化に対応する行動が日本企業の多くは全く取れていないと言わざるを得ません。この問題を解決するのもグローバルスタンダードに目を向けることが重要です。そして、サプライチェーンを巻き込むことが不可欠です。

 

 

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