【第6回】電気/電気設備のなぁぜなぁぜ

第2回目連載以来の再登場の國分です。

第6回は医薬品工場特有な考慮すべき電気設備として、まず電源バックアップについて解説します。

どの産業にも言えることですが、生産ひっ迫、多品種・少量生産によるロットの増大などにより、原材料搬入計画から出荷までの綿密な工程が要求されています。

そのことから、短時間の停電でも製品出荷に影響する可能性が増大しています。

特に医薬品の場合は、社会要請度合いが非常に高く、製品供給に対し大きな責務を負った産業であることは皆さんお分かりのことと思います。

医薬品製造工場は製造環境(温度、湿度、清浄度)について厳しい基準が求められています。特に清浄度については、「クリーンルーム」としての機能(換気回数、室間差圧保持)を維持するための空調設備の安定稼働が必須となります。

したがって停電などの影響による空調設備停止(クリーンブレーク)は生産再開までの大きな阻害要因となります。

さらに医薬品の製造には、原料から製品にするのに非常に長いリードタイムをもつものや、高付加価値製品があります。

製造中の停電によりそれまでの生産プロセスが止まってしまい、品質が保証できずロットアウトにせざるをえないものとなります。

また、原料、中間品、製品の保管環境においては、恒温、恒湿、乾燥、冷蔵、冷凍、暗所にしなければならないものがあります。それらについても、停電による条件逸脱により同様にロットアウトしてしまい、出荷先への影響や大きな損失が発生する可能性があります。

停電にも事故停電~ 瞬停(瞬時停電)、瞬低(瞬時電圧低下)、数秒以上10分未満の停電、それ以上の長時間、また大規模災害における長期間停電もあり得、電力会社や工場内電気設備の定期点検保守のための計画停電もあります。

どんな停電に対しても対応できるよう、工場全体をバックアップするのが最善策ではありますが、それにはバックアップ設備設置用の敷地、莫大な初期投資、また維持・保守コスト、人員も必要となります。

※生成AI(DALL-E3)に描かせたらこんなイメージになりました。

 

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