今の時代に求められるGMP監査 ~製造所と通じ合うために~【第1回】

GMP監査マニュアルの利用実態 ― 浮き彫りになった「現場の不満」とすれ違い


昨今、医薬品業界における品質不正事案が相次ぐ中、製造販売業者(製販)による製造業者への管理監督、すなわち「GMP監査」の重要性がかつてなく高まっています。

こうした背景から、厚生労働科学研究の成果として令和5年には「GMP監査マニュアル」が発出されるなど、行政主導での監査の実効性向上に向けた取り組みが進められています。

しかし、現場の実態はどうでしょうか。令和8年(2026年)2月に日本製薬団体連合会(日薬連)から報告された「『GMP監査マニュアル』の利用実態に関する調査」の結果の一部から「監査を受ける側(製造所)のリアルな声」が浮き彫りになりました。

本連載では全5回にわたり、これからの時代に本当に求められるGMP監査の在り方について、監査員の心構えや具体的なアプローチを交えて考えていきたいと思います。
第1回は、現在の監査現場で起きている「すれ違い」の現状と、監査の目的について見つめ直す機会としたいです。


1.製造現場から突きつけられた「監査への不満」
日薬連のアンケート調査結果(令和8年2月)には、監査を受ける製造業者から、監査者に対する切実な要望(不満)が数多く寄せられました。
これらは大きく5つのカテゴリーに分類されているようです。

  • 指摘事項に関する要望例:
    • 「感覚的・経験則による指摘は避けてほしい」 
    • 「指摘の根拠(法令・通知・ガイドライン)を明確に示してほしい」 
    • 「ラップアップ(講評)で説明されなかった指摘を後出ししないでほしい」 
    • 「推奨事項なのか指摘事項なのか区別を明確にしてほしい」 
  • 監査の進め方・態度に関する要望例:
    • 「高圧的な態度や上から目線は避け、対等な関係で協議してほしい」 
    • 「プラントツアーなどでは、対応者の業務負担を考慮してほしい」 
  • 監査準備・事前対応に関する要望例:
    • 「事前アンケートや資料要求は必要最小限にとどめてほしい」 
    • 「監査報告書は速やかに(2週間以内など)提出してほしい」 
  • 本質・リスクベースに関する意見例:
    • 「完全リスクゼロを前提とした指摘(重箱の隅をつつくような指摘)は業務圧迫につながる」 
    • 「形式よりも本質を重視した監査を希望する」 
  • 監査の目的・価値に関する意見例:
    • 「指摘だけでなく、良かった点(Good Practice)もフィードバックして前を向かせてほしい」 
    • 「監査は信頼関係の上に成り立つ協働の場であるべき」 


いかがでしょうか。

 

 

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