GMPニュースウォッチ -ある老兵の視点-【11】
APIC、原薬製造業者向けのニトロソアミン・リスク管理文書を改訂
医薬品のニトロソアミン不純物は、2018年に高血圧治療薬(バルサルタン)から発がん性物質である N-ニトロソジメチルアミンが検出されたことを契機に問題となり、欧米の規制当局が先行してこれを規制するためのガイドラインを整備し、日本もそれに追随してグローバルで協調した対応が進められている。
現在、欧米や日本の規制当局は、製薬企業に対して共通した3つのステップによる管理を求めている。
- リスクアセスメント: 原薬や製剤の製造工程、包装、保管条件などを照査し、ニトロソアミン類が混入・生成するリスクの有無を評価する。
- 検証試験: リスクが否定できない場合、バリデートされた高感度な分析手法(LC-MS/MSなど)を用いて実際のバッチを試験し、定量する。
- リスク低減: 許容摂取量を超えるニトロソアミンが検出された場合、製造工程の変更、原料の変更、処方の見直しなどの対策を講じる。
欧米における最新の規制動向
FDA(米国食品医薬品局)
- 最新ガイダンス: 2024年9月に「ヒト用医薬品におけるニトロソアミン不純物の管理」に関する最終ガイダンスを発出。
- ニトロソアミン原薬関連不純物への対応: 原薬特有の複雑な構造を持つニトロソアミン原薬関連不純物に対し、予測される発がん性ポテンシャルに基づいた許容摂取量の推奨値を設定。
- 期限と猶予: 本来、2025年8月1日をニトロソアミン原薬関連不純物に関する確認試験と変更管理の期限としていたが、処方変更や規格追加には時間がかかることを考慮し、対応が間に合わない企業には年次報告での進捗報告を条件に猶予を与える方針。
EMA(欧州医薬品庁)
- 継続的なアップデート: 2019年に全医薬品に対するリスク評価を通達して以来、Q&Aドキュメントを頻繁に更新。直近の2025年初頭にも、許容摂取量のリスト(Appendix 1)を更新し、対象となるニトロソアミン類を追加。
- バイオ医薬品への適用: FDAとの最大の違いとして、EMAのガイドラインは化学合成された低分子医薬品だけでなく、バイオ医薬品(生物製剤)も適用範囲に含めている。
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