口腔内崩壊錠とは【第1回】

はじめに
高齢化社会をむかえて、服用しやすい製剤の開発が要望される。これに対応する製剤として、口腔内崩壊錠(OD錠)、フィルム製剤、ゼリー製剤、グミ製剤などの多くの新規製剤が開発されている。
OD錠は嚥下が困難な患者や飲水量を制限すべき患者、特に小児にとって有用で、服用コンプライアンスやアドヒアランスの向上に貢献する剤形である。しかしながら、OD錠は口腔内で錠剤崩壊し、薬物の一部が放出されることから、服用感、特に苦味のコントロールが非常に重要となる。そこで好ましいOD錠とは患者や介護者の取扱いに支障がない錠剤硬度を有し、口腔内での崩壊性に優れ、良好な味覚の錠剤である1)。
そこで、本連載では、[第1回]では、欧米薬局方および米国FDA、そして日本薬局方における口腔内崩壊錠について、[第2回]は、口腔内崩壊錠の製造技術に関して、[第3回]では、口腔内崩壊錠の品質管理における留意点について、そして、[第4回]は、医療従事者の要望に応えるOD錠の開発と最近のOD錠に関して解説する。

1.口腔内崩壊錠とは
近年、利便性を志向した製剤の開発が活発に行われている。その中で最も注目されている剤形の1つが唾液や少量の水で、口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠である2)。
口腔内速崩壊錠は、1980年代に行われた杉原らによる厚生省厚生科学研究シルバーサイエンス研究、そして、英国R.P.SchererのZYDIS製剤の紹介が発端となり、研究開発が盛んになった。その10年後、1997年にガスターOD錠(山之内)、エチゾラム錠(E.エーザイ)などが上市された3)、4)、5)。ここで、OD錠の製剤技術の推移を表1にまとめた。

表1 OD錠の製剤技術の推移

本表は、砂田久一「進化する口腔内崩壊錠」PHARM TECH JAPAN,31,No.4,7-9P(2015)の図5 OD錠の進化と竹内洋文監修「医薬品製剤化方略と新技術Ⅱ」シーエムシー出版(2013)の砂田久一著、第2章 高齢者・小児向けの製剤設計、服薬における課題と解決とPLCM,2.3口腔内崩壊錠の成形技術(11-15P)および落合康「ユニバーサルデザインOD錠の開発-新規口腔内崩壊錠技術:SUITAB-NEXⓇ-」薬剤学,71,No.1,17-20P(2011)の表1 OD錠の基本性能に基づく技術分類(18P)を基に作成した。

2010年には、ブランド製品26品目、ジェネリック製品95品目の口腔内速崩壊錠が製品化された。そして、その市場規模は2009年で、ブランド製品が約4、000億円、ジェネリック製品約120億円である5)。

2.欧米薬局方および米国FDAにおける口腔内崩壊錠
2.1米国薬局方
米国薬局方(USP)では、製剤総則に口腔内崩壊錠に関する特別な記載はない。しかし、USP34の医薬品各条に、クロナゼパム口腔内崩壊錠、ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠、mitrazepine口腔内崩壊錠、オンダンセトロン口腔内崩壊錠の4製剤が収載されている。

 

 

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