医薬品開発における品質の位置付けと本質・Part 2
Part 2のはじめに
本アーティクルは、2026年4月22日に東京ビッグサイトで開催されたCPHI Japan 2026 でのセミナー「医薬品開発における品質の位置付けと本質 focused on 治験薬のGMP」の内容を紹介するものです。
Part 1では、臨床試験(治験)の目的とする医薬品と臨床試験(治験)に使う治験薬との関係や関連法規制についてお伝えしました。本Part 2では、その治験薬について品質の観点から3極での共通点と相違点について考察しましょう。
なお、アーティクルとしてはセミナースライドの順番に従い各スライドを簡単に説明していきますので、Part 1にリンクさせたセミナー資料のpdfファイルをダウンロードしていただき、別タブとして開いて本Part 2をお読みください。
[スライド21, 22]
Part 1の初めのところで述べましたが、日本では開発段階にある未承認の治験薬は“法的”には医薬品ではありません。薬機法第80条二の第2項によれば、「治験の対象とされる薬物等」とされています。そのため、GMP省令の適用範囲外です。GMP省令、正式名称は「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」であり、適用範囲が医薬品と医薬部外品として示されています。
しかしながら、治験薬もヒトに投与するということでは同じであり、被験者(患者)の保護は最も重要なことであることに変わりありません。そのため、治験薬であっても品質保証は必要であり、出来ればGMPをかけたいと思うのは誰しも同じなのではないでしょうか。
[スライド23]
そもそも治験薬は臨床試験(治験)に使用するものです。そう考えれば、臨床試験に関する省令であるGCP省令の一部としてかければ良い。ということで、平成9年(1997年)3月27日付で初発出された「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」*1、いわゆる“GCP省令”の第17条にぶら下げる形で、同年3月31日付で薬発第480号厚生省薬務局長通知「治験薬の製造管理及び品質管理基準及び治験薬の製造施設の構造設備基準(治験薬GMP)について」を発出しました。これが本邦初の治験薬のGMP、治験薬GMP基準となります。
しかしながら、臨床試験自体がICHの進展に伴い、さらに医薬品GMPが進化していき、治験薬のGMPについても新たな手法等による調和が求められました。ということから、2008年7月9日付で厚生労働省医薬食品局長通知として薬食発第0709002号「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準」*2、いわゆる“改正治験薬GMP”が発出されました。本基準は、翌2009年7月2日から完全施行され、現在も変わっておりません。あくまで、GCP省令の傘の下の規定という位置付けです。
[スライド24]
日本では、治験薬は法的には医薬品ではなく、治験の対象とされる薬物等と定義されています。しかしながら、ヒトに投与する限り、その品質は保証されなければならないため、治験に使用するという目的を踏まえ、治験薬GMP基準をGCP省令下にかけたと言えます。
では、次に医薬品と治験薬との共通点と相違点を理解しましょう。
[スライド25, 26]
治験薬の品質は医薬品の品質と何が違うか、考えたことがありますか? ずばり言って、ヒトに投与するモノという意味では本質的な違いはありません。ただ、治験薬は医薬品の開発段階としての臨床試験に使うと同時に、医薬品品質の開発段階でもあります。すなわち、品質そのものの確立に向けた設計段階にあります。言い換えれば設計品質が確立していないとも言えます。だからと言って、ヒトの投与に耐えない低品質やバラツキは許されないでしょう。将来の承認申請の信頼性にも疑義が持たれてしまいます。そういうことからも、品質保証は治験薬であっても当然必要になります。
[スライド 27]
前スライドを言い換えれば、品質に関わるGMPの精神と概念は、治験薬も市販の医薬品も同じということです。
一方で、規格・試験方法・製造方法等が確立したということで承認された医薬品と開発途上にある治験薬とでは違いが生じると言わざるを得ません。
*1:平成9年(1997年)3月27日付厚生省「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」
https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000100028
*2:平成20年(2008年)7月9日付 厚生労働省医薬食品局長 薬食発第0709002号「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について」
http://www.nihs.go.jp/dbcb/TEXT/yakusyokuhatu-0709002.pdf
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