ドマさんの徒然なるままに【第91話】 BMP症例・前編

第91話:BMP症例・前編

全体のはじめに
2021年に改正GMP省令*1が発出されました(現行版です)が、「こんなことしちゃダメだよ!」、「こんなんじゃダメだよ!」といった事項を改正GMP省令の条項に従い、前後編の二話として書いてみました。中には皮肉込みのものもありますが、決してGMPをバカにして書いてはいませんことをご理解ください。

ちなみに、中にはGMP省令各条項のポイントを1~2行で示しているものもあります。筆者の各条項に対する解釈を逆論法で示したつもりです。意味合いとしては、読者の皆さんのGMP省令各条項についての理解度を自身で再確認してみることが大事であると伝えたくて書いています。出来れば、GMP省令を横に置いて(別タブを開いておいて)、ひとつずつ確認しながらお読みいただければ、かなり勉強になると思っています。

なお、⇒●● として記した水色コメントは、筆者の勝手な言い分です。悪しからず。


第1章 総則
第1条 趣旨

この症例は、GMP省令違反に相当するもので、取りも直さず、薬機法違反として、それなりの処分を受ける事項を示したものである。
⇒そりゃそーでしょ。

第2条 定義
GMP省令に記載されている個々の定義が「覚えられなーい! 分かんなーい!」という、そこの“あなた”、少なくともGMPに関わる作業には向いておりません。場合によっては「健忘症」、さらには「認知症」の可能性もあるので、一度病院に行くことをお勧めします。そうじゃない、単にその気が無いだけだってか? そうですかー。でも、やっぱりGMPに関わる作業には向いておりません。
⇒率直に申し上げます。そもそも用語は覚えるものではありません。普段あなたが取り扱っている物品の総称や遭遇している状況・作業を示しているだけです。それさえ理解できないというのであれば、もはや限界と思ってください。
エッ? あなたの言い分は、〇×の二者択一の教育訓練のテストであれば、確率1/2だってか。救いが無いですねー。

 
第3条 適用の範囲
症例なので、適用範囲はありません。こんな状態に陥らないようにしましょう。
⇒結局、ビョーキってことですかね。ところで、これって感染症? ヤバッ!
 
第3条の2 承認事項の遵守
承認事項をきちんと遵守していれば、この症例には引っ掛かりません。逆に言えば、遵守していない or 遵守する気がない、ということの現れです。
⇒少しは守れよ! 守っているつもりだって? 頭どうかしていません?
 
第2章 医薬品製造業者等の製造所における製造管理及び品質管理 
第1節 通則
第3条の3 医薬品品質システム

品質方針も品質目標もありません。当然のことながら、実効性なんて考えたこともありません、ってか!?
⇒医薬品変質システムだと思っていません? あなたの頭が変質してしまっていますよ。
 
第3条の4 品質リスクマネジメント
「うちはシッカリとQRMをやっている」と言い放つあなた! では、「なにを・どれだけ・どうやって」といった具体的な5W1Hを説明してください。
⇒あなたご自身がリスクだってことをお気づきですか?
 
第4条 製造部門及び品質部門
「製造業者等は、製造所ごとに、製造管理者の監督の下に、製造部門とそれから独立した品質部門を置き、さらに品質部門では品質保証業務と試験検査業務とを分けてください。」ってか。そんな人員の余裕もねーし、しちめんどくさいんだよ!
⇒人員不足は、会社経営層にご相談ください。それしか言いようがありません。ちなみに、こういう組織運営体制は、査察や監査では一発で判りますからね。「ダメだ、こりゃ!」って指摘されて終わりですよ。
 
第5条 製造管理者
「うちの工場にそんな奴いた?」ってか。うーん、困ったちゃんです。製造管理者が自身の業務として管理監督しているか甚だ疑問ですが、存在感ゼロということですね。作業員に問題はありそうですが、製造管理者自身にも問題がありそうです。
⇒製造管理者さん、ちゃんと現場確認として、良い意味で“見回り同心”しましょうね。
 
第6条 職員 
「適正かつ円滑に実施しうる能力を有する、適切な人数の責任者」をおいて、「適切に実施しうる能力を有する人員を十分に確保」し、「製造管理者及び責任者を含む職員全員の責務及び管理体制を文書により適切に定める」とされていますが、お宅はどうですか? 「うちにはそんな余裕なんてあるかよ。全部俺がやってるよ!」ってか。
⇒正直に言います。実態としてOKですと思える製造所は思いの外少ないような・・・。人数としての量的もさることながら、資質・能力といった質的なことにも問題があるような・・・。日本の会社って、組織としての「業務分掌」はあるんですが、個人に対する「Job Description(職務記述書)」は無いか、あっても具体性に欠け、曖昧なような気がします。
 
第7条 医薬品製品標準書
「エッ、うちの製品標準書? 承認書記載事項と照合したことなんて無いよ。だから、変更等が生じた際にアップデートなんかしてないよ」ってか。
⇒本来、「承認書記載事項⇒(GQPに基づく)品質標準書⇒医薬品製品標準書⇒SOP:製造指図・記録書[原本](所謂MBR)⇒SOP:製造指図・記録書[ロットごと]」として整合しているはずなのですが、本邦では「Master Batch Record(MBR)システム」が要件化されておらず、そのこともあってか、実際の作業と承認書記載事項との乖離といったことが生じ易いんですよねー。行政としてMBRを採用し、提出を義務付けすれば、少なくとも承認書との乖離は無くなるんじゃないのかな? でも業界が反発するか???
《注》MBRについては、「第33話:まぼろしのMBR」を参照のこと。

 
第8条 手順書等
「GMP省令に記述されたSOP以外に何かあるか?」って? 「無いよ。どうせSOP通りに作業してないんだから、SOP作成なんて余計な手間かけたくないだろうが」ってか。
⇒そもそもGMP省令に挙げられているSOPは、あくまで“最低限”のはずなんですが・・・。
経験談として率直に申し上げます。「これらSOP、どうみてもコンサルタントに作成して貰った or どこかの薬務課サイトに掲載されている見本をパクッた」としか思えないことが、新規医薬品事業に参入した会社やベンチャー(スタートアップ)企業に多いんですよねー。しかも時に、お宅の会社(製造所)には「この記述は不要なんじゃない?」と思える事項があるんですよ。

 
第8条の2 交叉汚染の防止
「CCSやってますか?」って? そんな横文字の略語、知るわけねーだろうが。「交叉汚染対策は?」って? わざわざ別製品のものを混ぜるわけねーだろうか、バカかお前。
⇒汚染管理戦略(CCS:Contamination Control Strategy)とは言わないまでも、常識的に考えられる交叉汚染防止は大丈夫ですか? 品質リスクマネジメントの最たるものと思いますが・・・。
そう言えば、最近のPMDAオレンジレターNo.25「薬理作用・毒性が不明な物品を取り扱うリスクについて(その2)」*2でダメダメな事例が挙げられていましたね。これを読んでいると、洗浄バリデーションやクリーンルームの室間差圧で悩む、なんてまだ可愛げがあるように思えます。

 
第9条 構造設備
「うちはエンジニアリング会社にお願いしているから大丈夫」だってか? それがダメ元の原因だって気づいていますか? そういう丸投げが一番危ないんですよ。例えば、構造設備についての測定データは良くても、使い勝手が悪かったり、清掃し難かったりしませんか? 
⇒通常はエンジニアリング会社に依頼して設計して貰うと思いますが、使うのは自分たちであるということを踏まえ、良く相談してくださいね。設計する立場のエンジニアリング会社と使用する立場の自分たち、両者の認識と理解が同じレベルでないと、本来の目的を満たした使い勝手の良い構造設備になりませんからね。金をかければ済むという話ではないですよ。なんせ構造設備は一度設置してしまうと改造・改築が厄介ですからね。DQ・IQの段階からシッカリとやってください。
 
第10条 製造管理
「うちはシッカリとGMP省令記載の通りキチンとやっている」と言い切るあなた! それが疑問なんですよ。マジにキチンと製造を実施しようとしたら、製品による違いもあって、記述されている要件くらいじゃ済まないはずです。
⇒ハッキリ申し上げます。GMP省令に記述されていることって、当たり前のことしか書かれていませんよ。逆に言えば、記述されている要件が当たり前に思えないのであれば、あなたご自身に問題ありということになります。必ず、その製品に応じた対応が必要で、そのための具体的SOP(製造指図・記録書)が必要になるはずです。要件さえ満たせないってか? 出直したほうが良いでしょうね。
 
第11条 品質管理
うちはオペレーターによる個人差まで結果のデータに出るってか? うーん、相当ヤバイですね。データの信頼性は無いと言っても過言ではないですね
⇒この条項も前条項と同様に当たり前のことしか書かれていません。むしろ、製造管理は物性・特性の影響が大きく製品ごとに差異が生じ易いと思います。一方で、品質管理については分析ということから、出来る限り差異が生じないようにして操作(作業)するように思いますが、いかがでしょうか
 
第11条の2 安定性モニタリング 
「要件になってしまったので仕方なくやっている」ってか。「そもそも有効期限の設定って何を根拠にしているのかも知らないし、分析法バリデーションだって、言われるがままに仕方なくやっている」ってか。
⇒今回の一部改正GMP省令で新たに追加された条項ですが、ジェネリック医薬品の安定性モニタリング外れによる回収がなんと多いことか。今回の発効まで何をしていたのかが問われているんじゃないですかね。ICHの話*3もそんなことが背景にあるんじゃないですかねー。



前編のおわりに
本話では、第1条 趣旨から第11条の2 安定性モニタリングまでを示しましたが、ここまでお読みいただき、お分かりいただけましたか? 本話のタイトルの「BMP症例」って、GMP省令の洒落だってこと。BMPが、“Bad Manufacturing Practices”の略だってこと。でも書いていて思ったんですよ。この“M”って部分、他の言葉でも通用するってことです。例えば、作業のマナーが悪いと言うことでの“Bad Manner Practices”とか、作業員の心構えが悪いといった“Bad Mind Practices”とかです。さらには、作業員はマトモなのに管理者といった上位者が同調圧力をかけ作業員の心を蝕む“Bad Mental (Mentum) Practices”とかもあるなー。まぁー、言えることは、すべてがビョーキ。そうです、「BMP症例」です。

後編は、第11条の3 製品品質の照査からスタートします。是非とも前後編を通してGMP省令の全体像を再確認してみてください。


では、また。See you next time on the WEB.



【徒然後記】
我が家のバラ
埼玉県にある我が家の小さな庭にはバラの木がある。毎年GWの1週間くらい前に白い綺麗な花を咲かせる。今年(本話執筆時)も写真のように綺麗に咲いた。しかしこのバラ、“ナニワイバラ”という品種のバラなのであるが、かなりの高齢である。植えたのは筆者ではなく、筆者の大阪転勤時、社宅扱いとして貸出していた際に借人が植えたものである。実際の日時は不明であるが、2000年前後と推測する。そうなると26歳前後の老木(通常は10~15年らしい)ということになる。中には完全に枯れて切断してしまっている状態の枝もあるくらいである。近所の人からは「今年も綺麗に咲きましたね」と言われてちょっと嬉しい。が、本音を言えば、他人が見ていないところで偉い苦労をしているのである。

まずこの花、ほぼ1週間で散ってしまい、その花びらが道路に舞い散るため、毎日のように道路掃除をする羽目になる。それだけじゃない。花咲く時期を過ぎると、枝が異常に早く成長する。ピーク時には1日で10cmくらい延びる。そのため2週間に1度は剪定せざるを得ない。「綺麗な花には棘がある」とは良く言ったもので、バラなので鋭い棘があり、しかもその棘、鉤型で鷹の爪のような形状なのである。剪定の際に、ちょっと油断すると服の袖さえも通過してしまう。夏場、半袖で作業しようものならば、腕のあちこちから出血が・・・。燃えるゴミとして捨てるのだが、剪定したままではゴミ収集作業員にケガさせてしまうと申し訳ないので、10cm程度に細断して厚めのビニール袋に入れ、足で踏みつけて棘を潰してから指定のゴミ袋(これだけでは薄すぎて棘で破れる)に入れて捨てている(所要時間は約1時間)。
しかし、このバラさんも筆者と同じ高齢者、バラ専用の肥料(結構高価です)をあげたり剪定したりしながら、「年寄りどおしだけど、お前も頑張ってるな!」と声かけしている。せめて筆者が生きている間は面倒を見てあげよう。

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*1:令和3年(2021年)4月28日付厚生労働省令第90号「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」」 
https://laws.e-gov.go.jp/law/416M60000100179

*2:2026年3月24日付GMP Platformトピック「PMDA/GMP指摘事例速報(オレンジレターNo.25)
https://www.gmp-platform.com/article_detail.html?id=36861

*3:2025年11月18日付GMP Platformトピック「【重要】 厚生労働省/後発医薬品等へのICHガイドラインの適用について&その質疑応答集(Q&A)
https://www.gmp-platform.com/article_detail.html?id=34627

 

 

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