医薬品開発における非臨床試験から一言【第76回】
探索的毒性試験の相互連携
自然界から得られるものに生理的な作用を検討して有用ならば「薬理作用」になり、副作用は「毒性作用」のような認識を持ちます。薬理作用を有する化合物は、低分子薬として開発されてきました。また、植物や鉱物の薬理作用が極められて漢方薬の分野も発展しました。現在では、タンパク質や核酸などの高分子を用いた高分子薬も開発され、抗体医薬品やバイオ医薬品が提供されています。探索的な試験により、薬理/毒性作用を評価し、医薬品のゴールを目指しています。
毒性作用は、薬理作用と対比したとき副作用のような扱いもされますが、創薬研究では、安全な投与領域を評価するための毒性研究と考えられます。そのため、「日本毒性学会」の会員構成をみると、大学での研究者に加えて創薬企業から多くの研究員が参加し、まさしく産官学で高めあっている研究領域です。学会名が「日本トキシコロジー学会」となっていた時期もあり、世界共通の学問領域です。
創薬企業での毒性試験では「GLP基準」の順守が求められ、GLP:Good Laboratory Practiceとは「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」となります。これは、薬事法の規定に基づいた厚生省令として発布されています。
GLP省令の第一条(趣旨)では、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する資料について、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、催奇形性その他の毒性に関するものの収集及び作成がGLP省令に沿った試験施設又は試験場所で、承認された試験系を用いて行われるものに限る。と定められています。
つまり、毒性研究の資料は、GLPの認証を受けた施設で、基準に従って作成されることが要求されています。さらに、日本の基準は米国、EUと相互認証されており、日本発信のGLP試験資料は各国の承認申請資料に利用可能となり、逆も同様です。
医薬品GLPには、非臨床的な実験研究が計画、実施、監視、記録、報告、保存される組織・体制と研究過程での原則が定められています。新規医薬品の承認申請資料として用いられる非臨床安全性試験において、その試験の重要性からデータの信頼性をGLPシステムとして保証するために、ソフトとハードの両面から規定を定めたものといえます。
GLP準拠の基本的な構成要件は、試験実施のための責任体制の明確化(運営管理者を中心とした体制)、試験方法の標準化(SOP設定と運営、資料保管)、信頼性保証部門の設置(試験監査)、適切な施設設備・機器の使用と管理等になります。医薬品の他には、医療機器、動物用医薬品、農薬、食品、化学物質等のGLP基準があり、それぞれ定期的な立ち入り検査により、GLP試験の実施が認証されています。
このような試験環境の中で、低分子薬物を用いた探索的毒性試験を実施する体制を想定しますと、新薬の申請資料ではなく、スクリーニング試験としてのnon-GLP試験も多くなります。しかし、将来的なGLP試験の実施を考えると、認証を受けた施設でGLP準拠により試験をするのが適切と考えられます。
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