ある監査員の憂鬱【第6回】

現場の班長と…


本稿はフィクションを含みます。実在の地名、人物や団体などとは関係ありません。でも、監査経験の浅い皆様の不安を和らげたい、お役に立ちたい気持ちと、お伝えしたい情報に偽りはありません。

QAに転属となって数ヵ月、GMPを全く知らないところからスタートして、事例集というものを知り、事例集に書かれていることを理解することで判断ができたり、現場の相談にも答えることができるようになり、ある程度この業務に自信が付いた頃でしたね。

上司の課長から、「包装現場で問題が起きているようだから班長に聞いてきて」との指示を受けて、自分をアピールするためにも勇んで現場に行ったものです。

「何か問題が起きたと聞いたのだけど、どういう状況?」と質問したことに対して、意外にも班長からは「いえ、何もないですよ、順調です」との解答。あれ、と思いながらも上司のところに戻って、「何もありませんでしたよ」と報告。すかさず課長から、「何を聞いてきた!既に包装の課長から概ね状況は聞いたよ」との意外中の意外のお叱りで、恥ずかしさもあり、「それじゃあ、私は班長に嘘をつかれたということじゃないですか」との若干の逆切れ。課長からしみじみと言われたことは、「今のあなたがその程度の人間だということだよ」。

確かに私は、上司に言われるまま現場に行き、様子を見て報告し、上司はそれをもとに現場の課長に意見するといったことの繰り返しで、それでもって自分の存在感を感じていたところでした。

現場が本当に困っていたのか、確かに一時問題はあったのだろうが班長が修復し、私が行った時には問題解決、班長は事実を伝えただけでしょう。その瞬間を聞くのが私の仕事ではないのです。

それからは、驕る自分を戒め、無駄口をやめ、ひたすら実績を作ることに専念しました。現場の年間目標を達成するために、現場との2~3人のプロジェクト的なものを形成して、QAの観点からお手伝いするということに注力しました。

QAに転属して10年弱、私は別の工場の係長級になっていました。ある日、出社してみると私の机の上に名の無い手紙があり、開くと、包装課の班長(前の話とは別人)からでした。そこには、自身の意見が通らない、つまりは課長と合わない、課長の考えが信じられないといったものでした。

 

 

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