再生医療等製品製造の課題と業界を支える新たな取り組み

はじめに
再生医療等製品は、日本の医療イノベーションを牽引する重要分野として拡大してきています。しかし、商業化に向けた製造現場では、GMP/GCTPに適合した製造能力の確保、製品特性に起因するバリデーション負担、人財不足といった課題が顕在化しています。こうした課題に対して、当社ミナリスは単なる委託製造企業の枠を超え、品質・人財・設備を横断して共有化する取り組みを進めています。品質管理体制の共通化による再現性の向上、人財育成や人財交流によるスキル底上げ、他社が提供する空きスペースの賃貸型CPCを必要に応じて活用する柔軟な設備運用などを組み合わせ、過剰品質管理に偏らない適正な運用と持続的な成長の両立を目指しています。本稿では、再生医療等製品製造の課題と、それに対応する新たな取り組みについて紹介します。


1. 再生医療等製品製造の課題
1-1 品質の「ばらつき」を製造で管理する考え方
再生医療等製品は主成分が「生きた細胞」であるため、従来の医薬品のように完全な均一化が難しい製品特性を持ちます。そのため、「品質のばらつきを製造で管理する」という考え方が不可欠です。研究・治験段階ではChampionデータだけでなくWorstデータも把握し、工程設計段階からCQA/CPPの定義・管理を行うことが、商業製造の安定性を左右します。

1-2 標準化が難しい製造・品質管理体制
製品ごとに細胞性質や加工が異なるため、試験系(活性評価、無菌試験、遺伝子解析等)の確立・バリデーション、GCTP適合、技術移管の再現性確保などが壁になります。さらに、細胞培養・無菌操作・文書管理・監査対応等の専門スキルを持つ人財の不足も深刻です。

1-3 「安全側に傾倒しすぎた」品質管理の罠
従来の医薬品と同レベルの品質を過度に重視して安全側に傾倒しすぎた品質管理を行いますと、手順が過多になり、作業時間増加→逸脱発生増加→工数増加という負の連鎖を招きます。リスクマネジメントを土台に、製品特性に応じて適正な品質管理と適正なコストのバランスをとることが、品質と生産性の両立に直結します。


2. 製造現場を支える人財育成取り組み
2-1 人財育成:現場を「体験」して理解する
大学と連携したGMP教育訓練コースを主催し、「再生医療等製品の品質保証・製造体験」を提供しています。2025年に実施し、今後も状況に応じて開催を検討しています。座学・施設見学・ケーススタディを組み合わせ、ALCOA+、CAPA、変更管理、EM、PQTなどを現場目線で学べる構成としています。

2-2 人財交流によるスキル強化
繁忙期や特殊技能の習得期には、業界内で相互派遣や共同トレーニングを行います。協調領域(GMP教育、EM、データインテグリティ等)と競争領域(固有ノウハウ)を明確化することで、稼働率の平準化、固定費の抑制、需要変動への確実な対応を図ります。

 

 

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