化学屋の問わず語り【第2回】
PETボトルのリサイクル ~ 擬似移動床HPLC
皆さんがお住まいの地域では、PETボトルの回収ルールはどうなっているでしょうか。私の地域では、キャップを外し、ラベルを剥がし、それらはプラスチックごみとして出し、ボトル本体を潰して資源回収に出すルールになっています。ボトルを潰すのは回収時の体積を減らす目的と容易に想像できますし、キャップを締めたままだと中の空気が抜けないので、機械でも潰しにくいのだそうです。では、キャップとラベルを分別して出す理由は何なのでしょうか。

ペットボトルの材質については、業界団体のガイドラインがあり、
① ボトル本体:PET(ポリエチレンテレフタレート)単体
② ラベル :再生処理の比重・風選・洗浄で分離可能な材質・厚さ
③ キャップ :比重1.0未満のPE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)
などが定められています。
https://www.petbottle-rec.gr.jp/guideline/jisyu.html
このガイドラインは、PETボトルのリサイクル工程の流れが背景となっています。個々のリサイクル施設で違いもあるでしょうが、回収されたボトルを破砕した後、薄くて軽いラベルをブロワーの風で吹き飛ばし、水洗するときに沈むPETと浮くPEやPPを分離することが想定されているのです。このようにリサイクル時の分離工程を考慮した材質が採用されているにも関わらず、一般市民にキャップとラベルの分別が求められています。一方、キャップを外しても、ボトル本体にはキャップと同じ材質のリングが残るのに、リングを外さなくて良いのは何故でしょうか。
これは 0か100かの話ではなく、リサイクル工程における負荷低減と、一般市民が受任できる手間とのバランスが考慮されているのだと思います。資源価値の高いPET樹脂を回収するうえで、ポリエチレンやポリプロピレンを分離する工程が実装されているとしても、取り除きたい成分が少ないほうが効率的に分離できるはずです。一方、分別する一般市民にとっては、キャップを外してラベルを剥がすのと比べて、ボトル本体からリングを取り除くのは圧倒的に面倒ですよね。このような「効果と負荷のバランス」によって、資源ごみの出し方が決められているのではないでしょうか。
しかし、このような背景/理由は、ほとんど一般に説明されていないようで、残念な限りです。もちろん、私のような化学オタクでない方々にとって、わかりにくく、興味も乏しいであろうと思うのですが、ルールの根拠を理解してこそ、ルールを守る動機に繋がるのではないかとも感じています。
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