バイオ医薬品分野における品質保証責任者の独り言【第8回】
第8回:強いマネジメントが実行するQAの使い方
はじめに:強いマネジメントはQAをどう使っているのか
QAが「社内の敵」と見なされてしまう会社に共通する構図として、会議室で繰り返されるマネジメントの矛盾したメッセージや、責任の所在が曖昧なまま進む意思決定の問題を取り上げた。
QAは止めなかったことで責められ、止めたことでビジネスを止めたと非難される。この状況に置かれたQAが疲弊し、防衛的になり、最終的に組織全体が弱っていく――この流れは決して珍しいものではない。
では逆に、QAが敵にならず、むしろ組織の推進力として機能している会社では、何が違うのか。QA個人の力量や性格の問題なのか。それとも現場との相性なのか。答えはもっと構造的なところにある。
今回はQAを敵にしない組織に共通するマネジメントの振る舞いに焦点を当てる。QAに何を期待し、どこまでを任せ、そしてどこからを自ら引き取るのか。ここが整理されている組織では、QAは驚くほど機能する。逆に、ここが曖昧な組織では、どれほど優秀なQAを配置しても、衝突は避けられない。
「強いマネジメントはQAをどう使っているのか」という視点から、QAを敵にしないための関係設計を掘り下げていく。キーワードは一つである。『最後は経営が引き取る』。この覚悟があるかどうかが、QAとマネジメントの関係を決定的に分けるのである。
1. 強いマネジメントはQAに「命令」ではなく「役割」を与える
強い組織のマネジメントは、QAに「こうしろ」と命令しない。QAに役割を与える。役割とは、意思決定の中でQAが担う位置を明確にすることである。具体的にはこうだ。
・QAは品質リスクの見立て役である
・QAは説明可能性の番人である
・QAは判断を記録として残す設計者である
そして最も重要な一点がある。QAの意見を反映した形で、最終判断はマネジメントが引き取るのである。ここが欠けると、QAは「リスクを指摘したのに決められない」「決めたのに責任だけ負わされる」という地獄に落ちる。
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