効率的・効果的なGMP監査を目指して【第4回】
第4回 GMP監査の課題
1.監査のメリット
監査の課題の前に、改めて監査のメリットについて説明する。製造所は、GMP省令等に基づいてGMP体制を構築した以降も、「日常管理に基づく改善や品質情報・逸脱・自己点検等をトリガーとした改善」等、製造所自らの力でGMP体制を継続的に改善してきている。しかし、いくら優秀な製造所であっても自製造所の課題や弱点には気付き難く、また、課題に気付いていたとしても要員・設備等に関係する課題については、社内からの要望が通り難い状況等もあるため、結果として、課題や弱点がなかなか改善に至らない状況がある。
相当前の監査駆け出しの頃であるが、ある大手製薬会社の製造所を監査する機会があり、監査と言うより勉強させていただこうとの想いで監査に赴いたが、「・・・」の状況であった。また、複数の受託メーカーの方との雑談で「大手製薬会社から受けた監査は、厳しかったが、その大手製薬会社の製造所を訪問した際、GMPレベルがイメージしたものではなかった」等のコメントを受けたことがある。大手製薬会社の製造所がどうのこうのを言いたいのではなく、製造所のGMPレベルは、監査を受けた回数と監査に対する前向き度合いに比例しているのではないかと考えている。監査を前向きに受けることによって、第三者の目線で製造所自らが気付けていない課題や改善の余地を洗い出してもらえ、更には、社内で通り難い要員・設備等の要望をバックアップしてもらえることも可能となると考える。結果として、理想的な監査の浸透(製造販売業者:適切な監査の実施&製造所:監査への前向きな姿勢・適切な対応)は、製造販売業者・製造所(製造業者)の二者がWin・Winへと繋がると考える。
2.監査の課題
監査に係わる課題は少なくないが、今回の記事では「製造所の多忙さ」と「監査員の不足」について非常に踏み込んだ私見を述べるが、そのような考え方もあるのだとご理解いただければ有り難い。
2.1 製造所の多忙さ
各製造所の状況は、多少の差異はあるが、ひと言で言えば、「超多忙!」である。詳細な手順書に縛られて日常管理を行い、変更・逸脱・品質情報等の突発的な業務(付随する教育訓練)や製造販売業者への連絡・調整業務等をこなし、常に出荷期限と言うプレッシャーに追われている。更に、最近は、GMP以外の社内イベントである社員研修・各種ハラスメント教育等に時間を割かれている状況がある。監査員は、製造所がそのような状況にあることを十分に理解して監査を行う必要がある。適切な監査は製造所にメリットをもたらすが、監査は製造所の多忙な従業員から貴重な時間を奪うことになるため、リスクベースでの監査計画(頻度・手法・日数等)に従って、十分な監査の事前準備を行い、効率的・効果的な監査に努めて、監査に伴う製造所の負担を軽減する努力が必要である。もっと言えば、予期せぬ重大な案件が確認されない限りは、監査スケジュールを延長することなく、予定通り(可能であれば、終了時間の前倒し)に監査を終了させる必要がある。
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