医薬品モノづくり現場の履歴書【第4回】
本連載は、製薬企業での工場長経験者より、次世代を担う皆さんに贈る「生きた教科書」を目指します。マニュアルや計算式だけでは語れない現場のリアルな教訓をお伝えするため、経験談をベースに、関係者や特定ケースが分からないよう創作を交えた「読み物」としてお届けします。
また、本連載は異なるキャリアと専門性を持つ2人の元・工場長による二つのストーリーを交互に掲載します。
(1)『失敗から学ぶ現場学』(執筆者:南都下 史朗)
(2)『モノづくり人生の哲学』(執筆者:モノづくり伝道師)
アプローチは異なりますが、2人に共通するのは、モノづくり現場への「深い愛」と、プレッシャーの中で奮闘する皆さんへの「熱いエール」です。
この記事を読んだ後、隣のメンバーや、グループ内で意見交換するなど、コミュニケーションのツールとして利用いただけると嬉しく思います。
今回は『モノづくり人生の哲学』のスタートです。
「モノづくり」人生の哲学
第2回:工場の「モノづくり」入門編
「医薬品モノづくり現場の履歴書」の第4回は再び“モノづくり伝道師”の私から「モノづくり人生の哲学」第2回をお届けします。今回は、「工場の「モノづくり」入門編」と題して、工業化研究を担う部署から正に医薬品製造の本丸である工場の製造現場に異動し、右も左も分からない新米現場スタッフとして経験したことや学んだことをお伝えします。
【工場の「モノづくり」入門編】
工場敷地内にできた新しい部署で工業化研究に数年携わった後、再び転勤を命じられ、今度は転居を伴わない工場の製造部門に異動しました。そのタイミングは、ちょうど私自身が手掛けた剤型追加製品をいよいよ商用生産に乗せるために、現場主導による最終確認(今でいうバリデーションのPV)を行う時で、またしてもそのまま現場側の主担当者になりました。結局、製剤の処方設計、工業化研究、工場での商用生産の時期に合わせるように転勤をして、主担当を担ってきたことになり、ここまでの会社人生は、正に‶剤型追加製品と共に生きる″でした。
工場の製造部門は大きく固形製剤、注射製剤、包装を担う部門に分けられており、私は固形製剤の製造を担う部署に配属されました。そこでの立場は、日々安定操業を継続できるよう、様々な事に目配せをするスタッフの役割でした。配属された最初は、現場を良く知るために、一通りの現場実習と教育を受けることになります。ここで、登場するのが、以前‶怖い″印象があったチームリーダーの方々です。ただ、今度は同じ部署の仲間になった訳ですから、とても温かく(?)、親切に迎え入れてくれて、ホッとした思いの記憶があります。
固形製剤は秤量工程から検査選別工程まで秤量、造粒、打錠、コーティング、印刷・検査と多くの工程を経て製造されていきます。固形製剤の課は工程毎にチーム編成されていて、それぞれにチームリーダーがいます。更に、一つの工程でも多くの設備を保有し、多くの担当者が、毎日安全作業に留意しながら、緊張感を持って製造に携わっています。その現場を順番に回って現場実習を受けていくわけですが、あまりの多さに、限られた時間ですべてを理解することは不可能で、まずは、現場の実態を把握すると共に、「モノづくり」の雰囲気を体感することにあったように思います。
短い2週間程度の実習期間が終了し、いよいよ剤型追加品の初度生産(製品となる最初の生産)に向けた準備とPVによる最終確認です。なお、PV品は製品になりますので、GMP基準を遵守した製造と厳しい品質評価を行います。PVは生産技術部門立合いのもと、製造部門が主導して進めますが、製造現場側の担当は、私と今後の生産を主に担当する作業者とタッグを組んで臨みます。
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