最新コスメ科学 解体新書【第28回】

コスメ業界研究① 巨大市場で活動する企業たち

化粧品の研究開発に携わって30年。その間、ぼちぼちと書籍を執筆したり学術論文を発表したりしてきたところ、「化粧品業界の仕組みについて、教えてほしい」というリクエストを頂く機会が増えてきました。こうしたお声をかけてくださるのは、将来コスメの仕事に就きたい学生の皆様だったり、あるいは新規事業として化粧品業界への参入を模索されている企業の方々だったりします。しかし、冷静にこの業界を眺めてみたところ、外からは見えにくい特殊な構造を持っていることに気づかされました。「一体どのようなプレイヤーが生息し、どのような点に注目してビジネスを行っているのか」という実態は、きらびやかなイメージの裏側に隠れて、伝わっていないのが現状ではないでしょうか。

そこで本連載では、化粧品業界がどんな場所なのか、その舞台裏を何回かに分けて紹介していきたいと思います。

そもそも、「化粧品」とは、一体なになのでしょうか?

わが国では「医薬品医療機器等法」という法律によって、その定義が明確に定められています。同法律の2条3項によりますと、化粧品とは、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」と規定されています。

少々堅苦しい条文ではありますが、化粧品の守備範囲は私たちがすぐに思い浮かべる口紅やアイシャドウなどのメーキャップ化粧品や、化粧水・乳液などの基礎化粧品にとどまりません。日々の生活に欠かせないシャンプーやリンス、育毛のためのヘアトニック、香水、さらには毎朝使用する歯磨きや、一日の疲れを癒やす入浴剤までが、すべて法律上の「化粧品」に該当することになっているのです。

 

 

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