生成AIを巡る期待と現実【第4回】

現場から始まる生成AI活用

生成AIの活用は、経営層やIT部門の文脈で語られることが多いものの、実際に業務の質とスピードを変える起点は現場にあります。
日々の業務に向き合う担当者こそが、どこに無駄があり、どこに改善の余地があるのかを最も具体的に把握しているためです。
例えば、製造現場では日報や報告書の作成に毎日30分~1時間を費やしているケースが珍しくありません。
また、会議後の議事録作成や、トラブル発生時の経緯整理に多くの時間を取られていることもあります。
これらは業務として必要ではあるものの、それ自体が直接価値を生むわけではなく、「やらなければならないが重たい作業」に位置づけられます。
こうした日常的に発生しているが付加価値に直結しにくい作業こそ、生成AIの活用余地が大きい領域です。
したがって、生成AIは単なるITツールとして導入するものではなく、「現場の仕事の進め方をどう変えるか」という視点で捉えることが重要になります。
そこで、今回は現場からスタートさせる生成AI活用について考えてみたいと思います。

生成AIは“部分的に任せる”ツールである
生成AIは業務そのものを丸ごと置き換える存在ではありません。あくまで、業務の中の一部の作業を委任できるツールです。この前提を誤ると「使えない」という評価につながりやすくなります。
例えば報告書作成において本当に重要なのは、現象の解釈や課題の特定、対策の意思決定といった思考の部分です。
一方で、それらを文章として整形する作業は、ある程度のパターンに従っており、生成AIに任せやすい領域です。
具体的には、現場でメモした箇条書きを入力して「報告書形式に整えてください」と指示するだけで、一定水準のドラフトが数分で得られます。また、測定データをもとに「異常値の有無と傾向を要約してください」と依頼すれば、人が一つひとつ確認するよりも短時間で全体像を把握できます。
このように、“考えること”は人が担い、“整えること”をAIに任せるという役割分担が現実的な活用の形です。

業務分解が活用の鍵
一方で、「どの業務に使えばよいか分からない」という声も多く聞かれます。この課題に対して有効なのが、業務を分解して捉える視点です。
例えば、逸脱報告書の作成を例にすると、「事実の収集」「時系列の整理」「原因の仮説立て」「対策の検討」「文章化」「レビュー」といった工程に分けることができます。このうち、生成AIが得意とするのは「整理」と「文章化」です。

 

 

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