GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第88回】

GMP省令遵守

1.責任者
 バリデーション責任者についてGMP事例集1)に記載されている。

GMP13-13(バリデーション責任者)
[問]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション指針でいう「バリデーションの責任者」は、専門分野ごとに複数置いてもよいか(バリデーションの内容から研究開発関係、製造関係、試験検査関係、設備関係等一人で全体を網羅することができないこともあるため)。
[答]バリデーションの責任者は、バリデーション全体に責任を負う者であって一つの製造所に複数置くことは認められない。ただし、バリデーションの実施においては、様々な部門の多岐に亘る職員が関与することがあり得ることから、分野ごとにバリデーションの副責任者を置いても差し支えない。その場合には、それぞれのバリデーションの副責任者の責任、権限等をGMP省令第6条第4項の文書及びバリデーションマスタープランにあらかじめ適切に規定し明確にしておくこと。


 バリデーション責任者を複数の剤形の医薬品を製造する製造工場から質問を受けたことがある。製造工程と試験検査工程で別のバリデーション責任者を置きたいと希望された。セミナーでバリデーション責任者が、その専門性から別に定めるべきと答えたコンサルタントがいると聞いたこともあった。GMP管理としてバリデーション責任者はマスタープランに基づき適正に検証していることを確認しなければならない。ある部門のバリデーションで検証できない場合、他の部門に影響してないか、複数のバリデーションの実施状況、検証内容に問題ないことを確認する必要がある。個々のバリデーション結果を確認するのではなく、製造業として、バリデーションを統括的に判断するのがバリデーション責任者の任務であり、その結果をQA管理責任者や経営陣等の総括管理管理者に報告する任務がある。その上で、品質システムとして適切に稼働していることを確認しなければならない。

GMP6-2(職員)
[問]GMP省令第6条の「責任者」とは、具体的にどのような者を指すのか。
[答]責任者とは、製造・品質関連業務を適切かつ円滑に実施するために、製造業者等がその製造所の規模及び業務の種類等に応じて置くものであり、製造部門の責任者、品質部門の責任者の他、改正省令公布通知に示されている各業務の責任者(例:バリデーションの責任者等)が含まれる。製造業者等が法人である場合には、当該法人の代表者を含む薬事に関する業務に責任を有する役員の主導により、資源の確保、マネジメントレビューによるGMP体制の確認といった業務を通じ、適切な責任者が業務に従事する体制を確保することが求められる。


 責任者が必要な部署は、措置、規模及び業務に応じて置く必要がある。手順書として考えると、①製造管理、②衛生管理、③試験検査管理、④安定性モニタリング、⑤製品品質照査、⑥供給者管理、⑦外部委託管理、⑧出荷管理、⑨バリデーション、⑩変更管理、⑪逸脱管理、⑫品質情報・不良処理、⑬回収処理、⑭自己点検、⑮教育訓練、⑯文書管理等がある。製造管理、品質保証及び試験検査に係る業務が適正かつ円滑に行われるよう統括的管理を行うために責任者を定める必要がある。その業務を行う部署を基本に責任者を置く必要がある。QA(品質保証部門)に多くの責任者を置く施設も多いが、その業務が適切に稼働できるように、単に担当者を責任者にすべきではない。

 

 

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