ゼロベースからの化粧品の品質管理【第51回】
―GMP査察において注目すべき品質リスクに対する管理体制―
化粧品業界において、製品の品質を保証するためには化粧品GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)の実施が不可欠です。このGMPの運用においては、ISO 22716の要求事項に対応することが基本となります。ISO 22716は、化粧品の製造過程における品質管理の指針を示しており、製品が安全かつ有効であることを確保するための枠組みを提供しています。
GMPを適切に運用するためには、内部監査や外部委託先の監査を通じて継続的に課題を整理し、体制の充実化を図る必要があります。監査は、業務の実施状況を確認し、品質管理体制の強化や改善を促進する重要な手段です。特に、内部監査が実施される段階では、品質管理の全体的な仕組みを総合的に確認することが求められます。
また、ISO 22716とISO 9001の違いを理解することも重要です。ISO 22716は化粧品製品の品質管理に特化した規格であり、製品の安全性や効果に直接関わる要素を中心に管理します。一方、ISO 9001は品質マネジメントシステム全般を対象とした規格であり、製品の品質だけでなく、企業全体の運営管理の向上を目指します。このため、両者の管理体制を効果的に融合させることが求められます。
化粧品の品質管理において、品質リスクアセスメントは安全で有用性の高い化粧品を消費者に届けるために不可欠な要素です。リスクアセスメントは、製品の製造や使用における潜在的なリスクを特定し、そのリスクを低減または管理するための適切な対策を講じるプロセスです。このプロセスを適切に進めることにより、製品の安全性と有効性を確保できます。
内部監査や委託先監査を行う場合、GMP体制が整うまでは全体の仕組みを総合的に確認することが必要です。GMP体制が一通り整った後には、変化点に伴うリスクに着目して内部環境や外部環境の変化に応じた監査を行うことも一つの方法です。しかし、品質リスクの観点から品質管理体制について見直すことは極めて重要です。
今回は、内部監査や外部委託先の監査を行う際に、品質リスクアセスメントの視点からアプローチする方法について説明します。
① 文書管理システムのチェック
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