医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第59回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「国内製薬企業に求められる供給安定性」


1.製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内外にて製薬工場で働く日本人も外国人も夫々の工場で日々働いています。近い将来、国内製薬企業が海外へ進出する場合は当然ですが、国内のみで医薬品生産業務を行う場合であっても、国際的なGlobal Standardは大変重要で必要不可欠となります。なぜなら、社会的に国際化が進んでいてReach(化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU欧州連合法規制)やEC(欧州共同体)の規制が及んでいない日本の現状があります。然し乍ら、日本国在住の外国人の数が増え、彼らの疑問に動かされたのか国内対応が進んできつつあります。

行政は後手にしか動かないことは周知の事実でありますが、国内社会では少しずつ具体的な人の健康への影響などを厳しく求められるようなってきました。その重要性を事前情報として入手し、対応している企業と何それ?と会社上層部が知らなかったという企業では生き残りに大きく影響するのではないかと懸念をしております。すでに海外へ進出している企業の工場では、この問題に対応して世界的な規制に対応を余儀なくされて仕事をしていますが、国内企業の工場では、国外の規制には目もくれないで仕事をされていることと思います。国内法の最低限基準を遵守という文化が根強いお国柄なのですね。しかし、今後は国内のみで活動をしている会社にも国内社会が国際化していることから行政に対する不信感が募り、島国官僚は疎く、民間企業の生産活動に不都合な急展開の行政指導が出てきたときに窮地に追いやられる懸念があります。
Global Standardをお持ちの企業や作成をしている企業では、何故この規制に対応したStandardにするのかを疑問視したり、議論したりしていますので問題意識が高くこれらの対応がスムースに出来る免疫が出来ているものと思います。このGlobal Standardとしてのサプライチェーンマネジメントの運用が図られる必要があります。それは国民の健康を重要視する欧米の規制に対してまだまだ技術的には取り込めていない現状の日本があります。一方、日本国内の規制がEU(欧州連合)の規制より、厳しい場合がいくつかあります。これらは国際的に考えると、厳しくすれば厳しいほどレベルが高いのではと勘違いしている日本の規制があることを運用上知る必要があります。必要以上に厳しい基準を設けて運用することの国家的不利益を理解できていない日本の行政が日本国民としてはずかしいですね。

<Global Standardを知らない日本の工場長>

外資系の製薬会社ではいやでもGlobal Standardで仕事をせねばならないことが当たり前ですが、ある国内の製薬会社の会合においてGlobal Standardとはどのようなものですかと聞かれて唖然としたことがありました。あるべき姿は工場長がスタンダードを熟知し、その社内AuditでHSEマネジャーと共にAudit対応をManage出来ることが重要です。現場を知らない工場長や上に立つ人は探してでも会社の繁栄を支えてくれている従業員がどのような健康へのリスクを受け、どのような安全面のリスクを抱えて仕事をしているかを分析し、リスク評価結果を熟知して、必要なリスク低減対応を担当者に命令指示せねば誰もやりません。これを知ることから始めることが重要です。そのためにはGlobal Standardを専門家に指導を受けて充実させることが必要です。何をどうすればよいのかが分かっていただくには少し時間がかかりますがチャレンジがもとめられています。

  • サプライチェーン教育プログラム(グローバルスタンダードとして)

欧米に遅れをとっている事例は文化のみではありません。先ずは何事も自覚することが重要です。国内法をなんとか守れば良いという文化は陳腐化している事に気づき、国際的なレベルで仕事が出来る企業になって、グローバルスタンダードの構築を図ることがこれからの日本国内でもビジネスの継続には欠くことが出来ません。

<女性役員の比率や男女の平均賃金の差異>

世界経済フォーラム(WEF)が発表した2024年版の「ジェンダーギャップ指数」によると日本は146ヶ国中118位でした。2022年版で116位でしたので2位低下している事が大変重要です。政治、経済両面での女性の進出が依然として低調なことを受け先進7カ国(G7)、「東アジア太平洋地域」19カ国のいずれでも最下位となった。同報告は政治、経済、教育、健康の4分野で、男女参画などの度合いを評価して指数化。日本は教育、健康ではほぼ男女平等となっている一方、女性議員・閣僚の少なさから政治では139位、管理職の少なさや収入格差から経済でも121位と、下位に沈んでいる。

新聞記事と日本政府が開示義務化を発表した背景は男女の賃金格差ではフルタイムで働く女性の賃金が男性を100とすると78.7にとどまる。対象企業を非上場・中堅企業も対象で政府は企業に対して男女の賃金差の公表を義務付ける方針を固めた。これらは日本企業の男女賃金格差が女性登用の遅れを表している。男女の対等な評価を通じて人材の多様性を高め、企業の成長につなげる。さて、この後れを取っている日本企業の位置はある意味取り返しのつかない位置ですが問題は国際化多様化に対応する行動が日本企業は全く取れていないと言わざるを得ません。この問題を解決するのもグローバルスタンダードに目を向けることが重要です。そして、サプライチェーンを巻き込むことが不可欠です。

 

 

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