薬事屋のひとりごと【第17回】

GMP指摘事例速報 オレンジレター No.28 「品質問題の認識、上申、改善を推進する品質文化(Quality Culture)」

https://www.pmda.go.jp/files/000282233.pdf

筆者が気になる通知をひろいあげて、ひとりごとをお伝えするシリーズです。ひとりごとは読み流していただき、読者の皆さんが通知をお読みの上、しっかり内容を把握いただくと助かります。

「大丈夫、いつもこのやり方でやってるから」 「今さら止めたら欠品になるぞ」 「上がいいって言ってるんだから、いいんだよ」この3つのセリフを、自分の職場で一度も聞いたことがない――そう言い切れる方は、どれだけいらっしゃるでしょうか。
今回のテーマは、Quality Culture(品質文化)の指摘事例です。
最初にお断りしておきますが、今回の事例は、「ルールがなかった会社」の話ではありません。規程も手順書もマニュアルも、監査で見せられる形で一式揃っていた会社の話です。だからこそ、他社事例として読み流さないでほしいのです。

まず、品質文化の問題として思い出すのは、「爪水虫の薬(抗真菌薬)に睡眠導入剤が混入し、健康被害が続出して死亡例まで出た」事例です。調査を進めると、混入は氷山の一角で、数百品目にのぼる承認書と異なる手順での製造、査察用と実態用の二重帳簿、品質データの捏造が報告されています。また、調査報告書には、従業員の証言がそのまま記録されています。「上位者の指示は絶対で、下からの問題提起は許されない」 「考えることをやめ、黙って従うしかなかった」ここを読み飛ばさないでいただきたいのです。異常に気づいた人が、いなかったわけではありません。気づいていたのに、言えなかったのです。さらに経営陣は、GMP違反を知ったうえで黙認しました。その動機は「安定供給責任があるから」でした。報告書はこれを「GMPなき生産拡大」と断罪しています。正しく聞こえる言葉が、不正のアクセルになる。これが品質文化の問題の、最も厄介な特徴です。

 

 

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