ゼロベースからの化粧品の品質管理【第71回】

―衛生管理の中のサニテーションについて考える―

 化粧品製造所において、衛生管理は管理体制の整備が比較的進んでいる項目であると認識しています。しかしながら、前回お話したようにリスクの面からの視点が抜けて、他社がやっているからと、本来の目的の視点が抜けて形だけ導入しているケースが多いように感じています。そこで、衛生管理の中でサニテーションと言われている事項について考えてみたいと思います。
 衛生管理は、製造環境全体の汚染防止を目的とした包括的な管理です。一方、サニテーションは、清浄化(Cleaning)+消毒(Sanitizing)について、製造エリアでの汚染(塵埃・微生物)を除去・抑制するために、「環境の清浄度維持」に特化した仕組みです。主な事項は以下の項目です。

  • 清掃方法・頻度の設定
  • 消毒剤の選定(目的に応じた有効性の確認)
  • 耐性菌出現防止のための消毒剤のローテーション
  • 清浄化後の確認方法(目視+必要に応じて検査)
  • 清掃・消毒記録の作成

 特に、単なる清掃作業ではなく、洗浄・消毒の手順を妥当性確認したうえで実施することが必要です。
 衛生管理手順書の領域と製造現場を中心とするサニテーション手順書とでは、主体となる部門が異なりますので、好ましくは管理責任者と担当者も別に定め、教育訓練を定期実施することが好ましいと考えます。また、製品における交差汚染のリスクが高いものの、監査等でのチェックは表面的なものに止まってしまっていることが多いように感じています。前回も触れましたが、リスクベースで状況を整理し、管理体制を整えることが重要です。

1.製造設備の洗浄手順の妥当性の確認方法
 化粧品では、医薬品に比べて柔軟性がありますが、国際的なGMPの潮流や消費者の安全確保の観点から、実質的には医薬品に準じた管理が望まれています。

① ワーストケース製品の選定
 化粧品の製造設備は、同一設備で複数の製品を生産しますので、最も洗浄が困難な製品を選定し、その製品で手順を定めます。残留リスクから考えると、粉体を含む製品、高賦香品と無賦香品・微賦香品、顔料や有機色素を含む製品と含まない製品は製造エリアの段階から分離しておくことが好ましいと考えます。但し、製造頻度が低く、製造エリアや設備が区分できない場合には、簡易ブースや集塵機の活用、オゾンによる消臭対応等でカバーする方法と樹脂・パッキン類・ホース類はそれぞれ専用化する等の管理が必要です。

(ワースト製品の選定基準)

  • 溶解性:水に溶けにくい製品(油性成分、シリコン、ワックス含有)
  • 粘性:高粘度製品(クリーム、ジェル)
  • 着色性:色素や酸化鉄など、着色が強い成分
  • 残留リスク:防腐剤フリー、低界面活性剤製品
  • 毒性・刺激性:機能性成分(レチノール、ビタミンC 誘導体など)

 新製品や新原料を扱うことになった場合には、本来はワーストケース製品よりも洗浄性が良いことの検証が必要です。しかしながら、新規化学物質の採用時にこの検証の仕組みが整っていない製造所が多いように感じています。

 

 

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