薬機法の本質を踏まえた総責のあるべき姿を考える【第2回】
~法改正が示す責任役員と総責の「権限と義務」~
前回(第1回)は、相次ぐ行政処分から見えてきた「組織の深層」と、過度な生産プレッシャーが不正を生む構造などについて解説しました。
第2回となる今回は、こうした業界の課題に対して行政がどのようなメス(法令改正等)を入れたのか、令和元年および令和7年の薬機法改正が示す、総括製造販売責任者(総責)に与えられた責任と権限について考えます。
1.令和元年改正が問う「ガバナンスの構造」
過去の違反事案を振り返ると、問題の根源は以下の2つの類型に大別されます。
- 類型1: 違法状態(承認書と異なる製造など)にあることを役員として認識しながら、その改善を怠り、漫然と違法行為を継続していたケース。
- 類型2: 適切な業務運営体制や監督体制が構築されていないことにより、そもそも違反行為を発見、または改善できないケース。
これらを重く見た行政は、令和元年の薬機法改正において「法令遵守体制の整備(構築・運用)」を義務化しました。
ただし、これらは書かずとも当たり前にされるべきことでした。
法令を遵守することは当然であり、通常、複数人で組織される法人は、法人(組織)として法令遵守をしていかなければならず、そのためには法令遵守体制が不可欠です。
そしてここで明確に位置付けられたのが「責任役員」です。
市場に出した医薬品等の最終責任は製造販売業者、すなわち責任役員にあります。
経営層が「現場の違反を知らなかった」では済まさないぞ、と法制化によって明確化されたのです。
そして、現場における法令遵守の問題点を最も知り得る(理解できる)者として、「総責」は、現場に問題があれば、責任役員へ意見を申述し、その記録を残すべきと、ガバナンスの根幹を担うような位置付けとされたのです。
2.「変更命令」の対象拡大と総責の重要性
令和7年改正薬機法では、令和9年5月20日に施行予定の内容において「誰が責任を果たしていたか(いなかったか)」がより厳格に問われる時代となることが想像できます。
これまでも総責や製造管理者は変更命令の対象でしたが、法改正により、医薬品については、品質保証責任者(品責)や安全管理責任者(安責)といった各責任者に対しても、直接的な責任追及(変更命令)が追加されました。
さらに、令和元年薬機法改正では他法令との調整が難しく見送られた「責任役員への変更命令」についても採用されたのです。
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