最新コスメ科学 解体新書【第29回】

コスメ業界研究② バリューチェーンと陰の主役


・化粧品業界におけるバリューチェーンの全体構造
 化粧品業界のバリューチェーンは、原材料の調達から研究開発、製品の製造、そしてマーケティング、流通、最終的な販売・小売に至るまでの一連のプロセスで構成されています。この一連の流れそのものは、食品や日用品といった一般的な消費財のバリューチェーンと基本構造において大きな違いはありません。  しかし、化粧品という特殊な製品群において、どのプロセスが企業の競争優位性を生み出しているかという点に目を向けると、興味深い構造が見えてきます。

 世間一般の消費者が目にする機会が最も多いのは、テレビCMやSNSによる華やかなプロモーション、百貨店やドラッグストアなどの洗練された売り場、あるいは洗練されたパッケージによる販売・小売といった、いわゆるバリューチェーンの「川下」の領域です。しかし、日本の化粧品産業や関連企業が高い競争力を持ち、世界的な優位性を確立しているのは、目につきにくい「川上」から「川中」に位置する領域です。

 具体的には、最先端の界面化学や皮膚科学に基づく「研究開発・処方設計」、高品質かつ安全な素材を提供する「原料・資材供給」、そして厳しい品質管理のもとで寸分の狂いもなくバルク(化粧品の中身)を作り上げる「製造(生産)」のプロセスにあります。日本のものづくりが持つ精密さ、安全性への徹底したこだわり、そして高度な化学技術は、この川上・川中のプロセスにおいて強力な付加価値を生み出しています。近年では、地球規模での環境意識の高まりやクリーンビューティーの潮流、さらに各国での法規制の厳格化を受け、このバリューチェーンの起点である「原料メーカー」や「OEMメーカー」の領域で劇的な技術イノベーションと地殻変動が起きています。そこで以下では、バリューチェーンを支える重要な構成要素である各原料セグメントおよびOEMの実態について掘り下げていきましょう。  

・原料メーカーの動向①:界面活性剤の進化と環境対応 
 化粧品、特に洗顔料、クレンジング、シャンプー、ボディソープなどの洗浄系製品や、乳液・クリームといった乳化製品において、バリューチェーンの最も上流で製品の基礎機能を決定づけるのが「界面活性剤」です。

 

 

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