中国「製薬用水査察ガイドライン」2026年改訂版の解説

国家医薬品監督管理局(NMPA)傘下食品医薬品査察センター(CFDI)は、2026年3月30日、『製薬用水査察ガイドライン』(以下新しい査察ガイド)を正式に公布しました。本ガイドラインは、2025年版中国薬局方における製薬用水基準の改訂と密接に連動しています。中国の製薬企業の実際の生産および規制の現状に基づき、国際的な先進規制理念を取り入れています。本稿では2025年版中国薬局方の改訂にあわせ、新しい査察ガイドに基づく査察のポイントについて解説します。

1. 中国薬局方2025版の主な改訂ポイント

2025年版中国薬局方では、製薬用水に関連する基準について、全面且つ体系的な改訂が実施されました。
具体的な改訂ポイントおよび査察への影響は以下の通りです。

1-1. 注射用水の製造方法として非蒸留法の追加
これは最も重要な改訂の一つです。従来、注射用水は蒸留法(多効蒸留、熱圧蒸留など)のみが認められていましたが、2025年版中国薬局方では「蒸留法または同等の精製プロセス」が追加されました。この改訂を受け、新しい査察ガイドには新たに「非蒸留法による注射用水の同等性確認」に関する内容が追加され、現場査察の重点項目の一つとなりました。

1-2. 試験項目の最適化と簡潔化
国際基準に合わせ、2025年版中国薬局方は製薬用水の試験項目を科学的に最適化し、核心的な品質管理指標に焦点を当て、冗長な試験を削減すると同時に、リスクベースのアプローチを強化しました。具体的な改訂内容と査察要求は以下の通りです。

  • 重要水質基準の明確化: 導電率、全有機体炭素(TOC)、微生物限度は精製水、注射用水の必須試験項目として規定されています。このうち、注射用水のTOC限度を「0.5mg/L以下」と明記し、国際的な薬局方(USP、EPなど)と調和させました。導電率が基準(例:25℃において、精製水は≤5.1μS/cm、注射用水は≤1.3μS/cm)を満たせば、pH値、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニア、重金属など、多くの理化試験項目が免除されます。これにより、企業の試験コストが大幅に削減されるとともに、現場査察においても核心的なリスクポイントに集中できるようになります。
  • ICH Q3D 元素不純物評価の導入: 注射剤や経口剤など、水の使用用途に応じ、ICH Q3Dガイドラインに沿って元素不純物(鉛、カドミウム、水銀など)のリスク評価を行うことが求められます。必要に応じて管理限度値を設定しなければなりません。
  • その他の水質基準のリスクベース化: 従来は必須項目であった「蒸発残留物(不揮発物)」が、「リスクアセスメントの結果に基づき実施」へと変更されました。リスクアセスメント(ICH Q9品質リスクマネジメントガイドラインを参照)を通じて試験の必要性を判断し、低リスクと評価された場合は試験を免除できます。現場査察ではその妥当性と整合性が確認されます。
  • 試験方法の標準化: TOC測定は薬局方の要求に合致する方法で行うこと、微生物限度試験は通則9209の指導原則に従うことが明確化されました。

1-3. 微生物管理レベルの引き上げ
2025年版中国薬局方では、新たに通則9209「非無菌製剤微生物限度管理指導原則」が追加され、これが製薬用水の微生物管理に強制適用されました。旧版と比較して管理要求が大幅に向上しています。

 

 

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