医薬品開発における非臨床試験から一言【第75回】

薬理と薬物動態の相互連携

新薬を創出する研究開発において、薬理は実験動物に低分子から中分子あるいは高分子の薬物を投与して標的臓器/組織さらに標的分子での作用を探り、薬物と生体間の相互作用から生じる現象を扱っています。創薬企業は臨床に適用できる薬理作用の研究を日夜行っています。

ここに生体と薬物の相互作用を扱う情報の懸け橋として薬物動態が連携しています。薬物動態は血中薬物濃度、組織中薬物濃度を明らかにし、培養細胞/組織画分(ミクロゾーム等)を用いたin vitro研究で培地/溶媒中、培養細胞中薬物濃度から、薬理作用の場面で薬物濃度を探っています。さらに薬物濃度推移を解析して薬物の分布容積、消失半減期などの定量的な推定を行います。経口剤の場合、投与後の経時的な変化を追いかけ、反復投与による血中濃度推移から定常状態での薬物濃度を推定します。

薬物動態から薬物濃度の推移と体内分布の関係性が見いだされると、薬理効果が得られる薬物濃度から投与薬物量を推定します。そして生体に対する薬物作用を研究する薬力学の手法を用いて、動物実験で標的組織の推定有効濃度を達成できるような投与量を決定して、実験動物を用いた薬理実験に駒を進めて確認します。次に臨床薬理学で有効性を検証します。一方、このような動物実験、臨床試験での副作用に注目して安全性を検証します。これらの実証データを元に、有効で安全な創薬を目指しています。

薬理学による創薬には、薬物動態、薬力学、安全性そして臨床等との相互連携が欠かせません。創薬研究では、それぞれの部門が号砲一発でスタートを切っているように見えますが、社内研究レースは部門が1位を獲得するのではなく、綿密な情報交換により最速で同時にゴールテープを切ることを目指します。

薬物動態では、薬物濃度をキーワードに多くの検体濃度を測定しています。

  • In vitro試験:溶媒濃度、培養細胞中濃度
  • 動物実験:消化管中濃度、血液/血漿中濃度、組織/臓器中濃度、尿/糞/呼気中排泄量
      小動物(ラット、マウス)と大動物(イヌ、サル、ブタ)の薬物動態
  • 臨床試験:血中濃度、尿中排泄量

薬物動態は未変化体(親化合物)濃度推移の情報に加えて体内での代謝情報も必要で、in vitro試験で主な代謝物を決定し動物実験と臨床試験で代謝物濃度を解析します。

血中濃度が薬理作用の指標となるために組織中濃度との関係性を明確にします。経口剤なら、消化管での吸収部位、吸収後に門脈から肝臓に移行する過程、血中濃度を介して肝臓、腎臓や脳のような臓器と筋肉などの組織への薬物の移行と時間的推移を詳細に調べます。

 

 

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