再生医療等製品の品質保証についての雑感【第83回】

第83回:細胞製造の品質マネジメントシステム (13) 
~ 製造環境(構造設備)の設計で大事なもの (7) ~


はじめに
 本稿でも引き続き、予測的バリデーションと設計適格性評価(DQ)の関係についてお話しします。これまでにお話しした通り、個々の設備の適格性設計は、システムとして、組み合わせた状態(作業時)での要求仕様が考慮できていなければ結果(作業適格性)が予測できず、適切なバリデーションの実施にはつながりません。製造システムとしての構造設備要求仕様は、環境設備、製造設備のいずれについても、URS作成段階より明確に決定することが望まれます。今回は、「環境設備」を起点にお話しを進めます。


● 環境設備もシステムで動かすことを考えて仕様を決める
 環境設備も、製造設備と同様に、作業(細胞製造性)を考慮したシステム設計を前提に、構造設備の適格性評価を実施します。このとき、設備の機能仕様(例: 空調の換気回数など)は、必ずしも指針等に記される基準値を単独で達成する必要はなく、システムとしての「組み合わせ」により要求を満たす仕様であれば良いと考えます。
 例えば、細胞加工施設のグレードB区域は、安全キャビネットを設置し、稼働することが前提となります。一般的なグレードBの換気回数は30回程度ですが、安全キャビネットが稼働していれば、空気清浄効果(第70回参照)が生じるので、換気回数の低減が可能であり、また、工程作業における入室人数や所作を理解することで製造中の発塵速度が想定でき、製品や隣接区域への影響を考慮した、システム運用に必要な仕様が提案できると考えます。予めこのような設計を行えば、費用対効果に優れ、運用コストも最も抑制できると考えます。
 一方で、どういった状態で設備を確認することで「適格性評価」と言えるかについては、解釈と整理が難しいと考えます。上述のグレードBで例えると、細胞加工室(グレードA in B)のグレードB区域のOQが、部屋の空調と安全キャビネットの両方が稼働して達成することとした場合、安全キャビネットを停止した状態で換気回数30回相当を達成しようとすれば、安全キャビネットを稼働すれば要求仕様に対し過剰となります。ここで空調メーカーとしては、グレードB区域を要求されれば、当然換気回数30回の機能仕様を考慮しますし、安全キャビネットの稼働を考慮して要求する換気回数を減算すれば、空調メーカーはグレードB要求の達成を保証できません。そもそも設備・機器としてのOQは単独で実施しなければ保証できないと回答すると思います。そうなると、OQの計画書は、部屋空調、安全キャビネット、それぞれのOQと、空調と安全キャビネットを組み合わせた2種類の計画書が生じます。これらのうち、前者のOQは恐らくメーカーへの年次点検と同時に外注することが可能ですが、後者のOQについては、組み合わせる設備・機器のメーカーが異なればメーカーでは対応できず、専用のエンジニアリング対応が得られなければ、製造管理者が自ら実施しなければいけないと考えます。(そもそも、組み合わせで考慮する場合、非稼働時では評価できないので、施設側の対応は不可欠であると考えますが...)

 

 

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