医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第72回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「試験室のCMR物質廃液取扱い重要ポイント」


1.製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化が進む中、製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。働く人たちの健康被害が発生しないよう、企業は最善の努力をせねばなりません。製薬企業は工場の中だけがリスクの温床では無く、試験室(実験室、研究室その他試薬を扱う場所の全てをここでは試験室と表現する)にもリスクがあります。試験室では多種の試薬類を日々扱っています。試薬類は製薬工場では欠く事の出来ない試験室での業務上の資財であり、これを扱う場所は試験室とその隣接する試薬保管室や、試薬棚が置かれている場所(単なる事務所だったりすることもあるが一般的には試験室内に置いて、仕事のアクセスを良くしていることが多い)になります。

さて、試験室で仕事をしている人たちの多くは化学系や薬学系の大学で学んだ知識の豊富な方々です。製薬企業の試験室は大学の試験室に似ていて、実験台やその他の設備が並んだ景色は大学の試験室と間違えることもあり得る環境です。そこで働く社員の方々は大学で学んだというかやってきたことをベースに仕事をされることが有るようです。

上記の環境でどのような健康被害リスクが存在しているか、どのような環境破壊への影響リスクが存在しているのかと問われると、答えに困る新人の方々が大勢おられるようです。そのような試験室で、CMR物質廃液取扱いをリスク特定するのは至難の業かも知れません。

ここでCMR物質とは, 

C:発癌性(Carcinogenic)

M:変異原性(Mutagenic)

R:生殖発生毒性(Reprotoxic)

があり、取扱いに十分配慮する必要があると判断された物質で、以下の3つに掲載、指定、公表された物質をいう。

① サプライチェーン会社製品のCMR物質リストに掲載されている物質。

② SDS (Safety Data Sheet)を検索した際、 R Phrases (Risk Phrases)により、CMR物質と判断された物質(R45,R46,R49,R60,R61)、およびGHS ハザードステートメントH340、H350、H360が記載されている物質。

③ 非サプライチェーン会社製品については、厚生労働大臣によって健康障害の恐れがある物質として指定、公表された対象物質。

次に、このようなCMR物質を試験などで使用後、廃棄する際に廃液容器に移して一時保管する際の重要保管管理要件として、可燃性廃液か不燃性廃液かにより、消防法や関連法律の取扱いが必要となります。

<廃液で可燃性液体として管理すべき濃度は20%超との基準>

対策1:予めポリ容器に容量の80%に相当する水を入れておくことで、管理しても良い

対策2:20%以下の物質である事を事前に確認する。

上記対応がされることで不燃性液体として取扱いできます。

 

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