行政と現場で紡ぐ品質文化 ~「医薬品製造業者等の品質保証体制強化」とその先へ~【第2回】
■対談者:
• 橋本 明日香(奈良県庁 薬務行政担当)
• 田中 良一(株式会社シーエムプラス シニアコンサルタント / 元厚労省GMP指導官・元京都府庁)
■実施日時:2026年3月19日(木)
■実施場所:株式会社シーエムプラス(神奈川県横浜市)
■第2回:最近のGMP関連動向に対する行政の取り組み
田中: 橋本さんは長く薬務を担当されていますが、行政の人事異動の仕組みについて「もっとこうなればいいな」と思うことはありますか?
橋本様: そうですね。公務員は通常3年などで異動してしまうので、色々な分野を知るという意味では良い制度です。
ただ、GMPのような専門的な分野は、やはり長く担当してしっかりと自分のものにしてから、次の担当者に引き継いでいくような、上手く専門性が回っていく体制を取ってほしいなとは思います。
田中: 全く同感です。東京や大阪の方々を除けば、各都道府県の薬務課の人数は限られています。
橋本様: エース級の担当者が一人抜けるだけでも、かなりの戦力ダウンになってしまいます。GMP調査は、単に法令を読んで勉強すればすぐできるものではありません。
現場に行って話を聞き、経験を積んで初めて「現場にどう落とし込むか」が分かってくる分野ですからね。
田中: おっしゃる通りです。最初はGMPの三原則を読むところから始まりますが、経験を積むと、文字に対する理解の深さや広がりが全く違ってきます。それを組織の中でどう伝承していくかは非常に難しい課題です。
そうした「単独の都道府県でのリソース不足・教育の難しさ」を補うために始まったのが、近畿府県での連携した取り組みでしたね。近畿の取り組みはどう見えていましたか?
橋本様: 私が新規採用職員として配属された当初は、まだそこまで近畿全体での教育訓練は活発ではなかったと記憶しています。許認可や承認業務がメインでしたが、その後、大きく変わっていく過程を見ることができました。
田中: 今となっては、近畿ブロックで毎月のように教育訓練があるのが「普通」になっていますが、始まった当初は本当にありがたかったですよね。
単独の府県ではできることに限りがありますが、大阪府さんや兵庫県さんが主導してくださり、自前ではやれない工場見学や初期教育などを共有してもらえるようになりました。
橋本様:はい。何もない中で「OJTだけで教えながら調査に行け」と言われていた時代に比べたら、今の体制は本当に恵まれていると思います。
田中: もちろん、もっと上を目指さなければなりませんが、あの横の繋がりのおかげで、行政側の調査の質は飛躍的に向上しました。
橋本様: WEB会議が当たり前になった今でも、近畿の会議や研修は「現地(対面)で集まろう」という雰囲気を大事にしています。
現地で顔を合わせて、聞きたいことを直接聞いたり、他府県の方と意見交換したりするコミュニケーションの場を今も優先しています。
先輩方が築いてくださったこの連携の強さは、とても心強いです。
田中: 少し踏み込んだ話になりますが、後発医薬品の新規承認時のGMP調査をPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が行うことになりますよね。
奈良県さんとしては、その影響や変化を感じておられますか?
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