バイオ医薬品分野における品質保証責任者の独り言【第2回】
第2回:品質保証が社内の敵に見えるのはなぜか― その構造を解き明かす!
はじめに
第1回「より良いバイオ医薬品を患者に届けるために!」では、品質保証部門(QA)が社内で最も厄介な“敵”として認識されている会社が少なくないという現実について触れた。
私自身、かつて生産技術や製造の現場に身を置いていた頃、品質保証部門と何度も衝突してきた経験がある。そのたびに心の中でこう呟いていた。
「正論なのは分かる。しかし、そんなことを言っていても現実は回らないのではないか」
現場に立つ者であれば、一度は抱いたことのある感情ではないだろうか。
現在の私は、品質保証部門の責任者という立場にいる。品質を守るために絶対に譲れない制限がいかに多いかを、日々痛感している。適切な品質を担保するためには、現場と意見が対立する場面も避けて通れない。それは職務上、当然のことである。
しかし――
それでもなお、「品質保証部門は敵だ」と思われないためには、私たちは何をすべきなのか。
品質保証部門に本当に求められている役割とは何なのか。その問いについて改めて考えてみたい。
1. 「品質保証部門が敵」と感じる瞬間は何か
まず、現場の人間がどのような瞬間に品質保証部門を「敵」と感じるのかを考えてみた。
真っ先に思い浮かぶのは、レギュレーションを盾に取った対応である。
「規則に書いていないからできない」
「記載どおりではないから認められない」
こうした言葉を突き付けられると、現場からは次第にこんな声が聞こえてくる。
「QAは楽でいい。現場の苦労も知らずに、正論だけを振りかざしている。上から目線で指摘さえしていればいいのだから!」
品質保証部門としては、ルールを守らせるのが仕事であり、決して気楽な立場ではない。しかし、その意図や背景が共有されないまま規制だけが降りてくると、現場との溝は一気に深まる。
その結果、品質保証部門は「品質を守る仲間」ではなく、
「仕事を止める存在」
「足を引っ張る存在」
として認識されてしまうのである。では、どうすれば敵にならないのか。
2. 品質保証部門は「正しいこと」を言っているのに、なぜ嫌われるのか?
QA部門の責任者をしていると、実にさまざまな場面に遭遇する。よく耳にするのは、QA担当者が文書の指摘を行う際、「体裁が整っていないから修正を求めた」というケースである。例えば、「てにをは」が間違っている、インデントがずれている、といった品質に直接関係しない部分を重箱の隅をつつくように指摘してしまうと、現場からは呆れられてしまう。しかし、品質保証部門がそのような些末なことばかりを言っているわけではない。
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