統計・確率の視点での品質保証できていますか?
多くの製薬企業の品質問題を見てきて思うことは、統計・確率の視点で品質保証をしていたら、「その問題は防げましたよ!」と思うことが多いです。
今「統計・確率の視点での品質保証できていますか?」と質問されたら、製販、製造所の品質の責任者、そして自分は「Yes」と言えるでしょうか?
『それでも人生にイエスと言う』ヴィクトールフランクル著を読まれた方もいらっしゃるかと思います。QC&QAの方には「Yes」と言っていただきたいのです。残念ながら、QA長/QC長のなかにも、言えない方がおられるように思います。
抽象的な言葉ではわかりません。では実際の事例を3つ紹介します。「私ならこの品質問題を事前に防げたか」考えていただきたいのです。そしてもし「No」なら、心配は不要です。今から学べば良いだけです。
事例;
1.日局標準品に純度補正が新たに設定された!
日局標準品の管理は国立衛生研究所の大阪支所で前は行われていました。それが日本公定書協会(現医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団)に業務が移管されました。そのときに、「99.5%未満の標準品は補正係数を記載する」が決まりました。
その決定は、日局標準品原料を提供している会社には連絡がありませんでした。
日局標準品は高価で当時でもその標準品は約3万円/1本で販売されていました。標準品原料を提供するとき、多めに造り、国立衛生研究所に提供した残りを、二次標準品としてGMP変更管理で使っていました。同じものなので、GMP変更管理は原理・原則で考えれば不要なのですが、GMPとしては必要になります。また日局標準品の二次標準品を使うことはきちんと管理すれば問題ないとされています。
定期的に日局標準品を購入して、GMP管理としてデータを取っていました。あるとき、購入したところ、「補正係数」が明記されていたことに製造所が気付き、本社QAに連絡がありました。本社QAが標準品原料提供の窓口になっていました。「補正係数=0.993」となっています。つまり、その原薬の含量が、0.7%低下することになるのです。
筆者はすぐに、製造所の合成部、QA、QC、そして本社の担当者でTV会議をしました。
確認した状況;
規格:97.0~101.0%
これまでのデータ: 平均値=98.1% σ=0.40%
原薬はバルク販売を行っている。
経年での低下はこれまでの安定性データからは、ない。
最終工程で蒸留で精製している。
これから何が分かるでしょうか?
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