エッセイ:エイジング話【2025年10月】
米国でのTOC測定
水域の有機汚染に対し、島国日本と大陸に在る米国では大きな隔たりがあること、昭和の時代に顕著となった公害問題とTOC測定との関連にて触れました。
米国との関税交渉の中で、「日本はなぜ米国産コメの輸入を増やさないのか?」という米国大統領が持つ疑問へも、限られた農地日本と広大な農地が在る米国との違いを、なかなか実感して貰えないのでしょう。
筆者は、「なぜ洗剤成分が測れないTOC測定器が米国で使われるのか?」という疑問を米国在住の友人から訊き納得が出来ましたが、米国大統領は日本にしかるべき友人は居ないのでしょう。石破総理が成れそうな気配が見受けられましたが、残念なことになりました。
さて、USPがTOC測定における標準物質として指定するSucroseは、変質する(分解され易い)不安定な化学物質であり、これは分析化学の常識上から適しません。
数在る有機体炭素を総称するとは思えない、単純な元素構成であるSucroseを敢えて挙げるのは、何か恣意があると考えるのが自然でしょう。
とどのつまり、測定原理により測れる有機体炭素と、測れても回収率が低い有機体炭素が存在するのを利用者は押さえるべきです。ここは、測定器に対するQuality risk managementと言っても良い対応姿勢です。
GE power & water社は、傘下に持つ測定原理が異なる2機種のTOC測定装置に関し、代表的な有機体炭素の回収率比較試験を公表しました。これは測定器メーカーとして必須なスタンスだと考えます。
これに依ると、Sucrose は2機種ともに100%近い回収率が在りますが、Nicotinamide, Tri methyl amineでは回収率に幅があります。ここは、この2つの化合物はC,H,O以外の元素で構成される有機体炭素だからでしょう。
前回ここで紹介したPHARM TEC JAPAN誌 小嶋茂雄氏の記事にも、ハロゲンを含む有機体炭素を、直接法(USP準拠タイプ)とそうではない間接法(ガス透過膜タイプ)で試験した結果が掲載されていますから転記します。表中のデータは直接法ではプラス側の誤差が出る一例です。ちなみに、検体中の有機炭素によってはマイナス側の誤差も出ます。
特にハロゲン化有機体炭素は、国内では河川へ流れ込み公害問題として明らかになった歴史もある汚染として懸念される有機化合物です。
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